欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル大統領は15日、ロシアのプーチン大統領の5選に対して祝電を表明した。投票は始まったばかりでまだ当選が確定したわけでなく、その前だ。受け取ったプーチン氏はEU大統領からの祝電を「あなたの祝電は第1号です」と歓迎しただろうか。それとも「ロシア大統領選挙は仮想選挙に過ぎない。真の対抗候補者はなく、プーチン氏の5選は英国のブックメーカーも掛け率(オッズ)が良くないから関心が低い」と欧米メディアで報じられていることを受け、「EU側の精一杯の皮肉を込めた祝電」と感じ、不快感を漏らしただろうか。

投票前日、国民に向かって演説するプーチン大統領(2024年03月14日、クレムリン公式サイトから)

ロシア大統領選(任期6年)は15日から17日までの3日間実施された。モスクワの中央選挙管理委員会によると、ほぼ半数の開票が終わった時点でプーチン大統領の得票率は87・3%だった。プーチン大統領の2018年の選挙結果(76.7%)よりも10ポイント以上高い。国営テレビはその直後、プーチン氏の当選確実の速報を報じた。

有権者総数は約1億1400万人、暫定投票率74%はロシア大統領選では最高の数字。投票はロシアが2014年に併合したクリミア半島やウクライナ東部・南部の占領地でも実施され、今回初めて電子投票が行われた。選挙管理委員会によると、800万人の国民がオンラインで投票したという。

ロシア大統領選の当落は重要ではない。なぜならば、投票前に既にその結果は決まっているからだ。プーチン大統領の公式の対抗候補者は共産主義者のニコライ・ハリトーノフ氏、民族主義者の自由民主党党首レオニード・スルスキー氏、新人民党のウラジスラフ・ダワンコフ氏だった。彼らは大統領選が民主的に実施されたことを見せるためのクレムリンのマリオネットに過ぎないからだ。他の2人の候補者、戦争反対派のボリス・ナデジディン氏とエカテリーナ・ドゥンソワ氏は、選挙管理委員会によって候補者から除外された。最も有名な反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は2月16日、ロシアのシベリアの捕虜収容所で死亡した。

興味深い点は、プーチン氏は当選確実となった直後、「ナワリヌイ氏は囚人交換のリストにアップされていた」と語り、ナワリヌイ氏の名前を初めて公の場で言及し、「起きたことは仕方がないが、残念だ」と述べたことだ。当選が決まって余裕が出たために飛び出した発言かもしれないが、どのようにカムフラージュしたとしても、これはプーチン氏の一種の犯行告白だ。