1. トランプ元大統領はなぜ登壇するのか?

    では、トランプが登壇するの動機は何でしょうか。

    トランプはリバタリアンではなくても、リバタリアン党員の投票を獲得する可能性があります。

    2016年にリバタリアン党の大統領候補で有名なリバタリアン評論家であるオースティン・ピーターセンはXでこう言いました。

    「トランプはリバタリアン党の大会に登場することで、一部の党員の票を獲得するだろう」

    ちなみに、ピーターセンはリバタリアンとして今年トランプに投票すると発言しています。

    しかし、一部の共和党員と多くのリバタリアン党員はトランプに投票しない可能性が高いです。その理由は、トランプが今年の大統領候補の中ではリバタリアンに一番近い候補ですが、先ほど説明したように反自由主義的な政策も多いからです。

    そのため、トランプはリバタリアン党の党大会で、自分の自由主義寄りの立場を強調し、他の候補が自分よりも反自由主義なのかを語ることによって、彼らの支持を得たいと考えているのです。

  2. リバタリアンと共和党の思想関係

    トランプそして多くの共和党員はリバタリアンではないのですが、アメリカの保守主義はリバタリアンの思想との共通点が多いです。

    ロナルド・レーガン大統領は、アメリカの共和党は以下の3つのグループで構成されていると解説しました。

    social conservatives・社会保守(保守よりのキリスト教徒、伝統保守主義者) strong national defense・安全保障タカ派(力による平和を唱える有権者) fiscal conservatives・財政保守(リバタリアンや自由市場資本主義者)

    つまり、共和党の原点は「小さな政府」や「自由経済」です。現実には、共和党の議員たちは政府の規模を拡大することが多いですが、共和党の有権者は概して小さな政府を望んでいます。

    これが今回の話と今年の大統領選の背景にあることです。

    政治に詳しいアメリカ人にとっては基本的な話ですが、一部のアメリカ人、そして日本の多くの方はこれを知らないかもしれないので追記させていただきました。

    編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年5月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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