ロシアではロシアの民間軍事組織「ワグネル」とその指導者、エフゲニー・プリゴジン氏による「24時間反乱」(6月23~24日)が起きたが、ブリコジン氏は8月23日、自家用ジェット機の墜落事故死で犠牲となった。プーチン氏は来年3月17日の大統領選で5選を実現するためにウクライナとの戦争でも目に見える成果を模索してくるだろう。
ウクライナは米国と欧州連盟(EU)/北大西洋条約機構(NATO)から経済的、軍事的支援を受けてきたが、米国とドイツはここにきて対ウクライナ支援で大きな試練に直面している。ハンガリーやスロバキアでも対ウクライナ支援の停止論が聞かれる、といった具合だ(「ウクライナは武器の自力生産を目指す」2023年12月29日参考)。
一方、2023年10月7日、パレスチナ自治政府ガザ区を実効支配するイスラム過激テロ組織ハマスがイスラエルに奇襲侵攻し、1200人余りのイスラエル人を殺害するというテロが発生。ハマスのテロに報復するイスラエル軍はガザに侵攻し、「ハマス壊滅」に乗り出している。イスラエル側だけではなく、パレスチナ人側にも多数の犠牲者が出、ガザ地区保健当局によると、ガザ地区での死者数は今月22日の時点で2万人を超えたという。
ウクライナ戦争、ガザ戦争の他にもアフリカ(例スーダン)や他のエリアで小規模な軍事衝突が繰り広げられた2023年だった。ドイツ語協会は2023年度の言葉に「Krisenmodus」を選んだ。直訳すると「危機モード」だ。ドイツを含む2023年の世界情勢を振り返るならば、納得できる選出だ。世界経済は戦争、それに伴うエネルギー危機、物価の高騰もあって一部の軍事産業以外は停滞している。
明日から始まる2024年は上記の戦争を引き継ぐだろうし、台湾総統選、ロシア大統領選、欧州議会選、自民党総裁選、米大統領選など重要な選挙日程が続く。新たな紛争、不祥事が生じる可能性は十分ある。特に、核戦力を強化する中国共産党政権の台湾への軍事侵攻は非常に現実的なシナリオだ。台湾海峡で戦争が生じれば、世界はこれまで経験したことがない大規模な軍事的、経済的カオスに陥ることが考えられる。2023年は24年の新年に「危機モード」をバトナタッチすることになる。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年12月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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