アメリカに「カントリー音楽」といった言い方があることからもわかるように、この場合の「your country」には、対応する行政組織がない。消費税率の正当化のために参照するのは、全く不適切である。

日本国憲法で、税徴収などの財政に関する権限に関する条項で「国」という概念が出てくるが、こちらは起草時のオリジナルの英文テキストでは国家機構を意味する「State」である。

そもそも日本国憲法が前文において「人類普遍の原理(a universal principle)」と単数形で表現している「厳粛な信託」の「社会契約論」の論理で言えば、税金とは、政府の統治活動と引き換えに国民=人民(people)が渡す委託料のようなものだ。「国」に奉仕するために税金を出すのではない。業務委託契約の成立にあたって、委託主が実施者に渡す「委託費」のことだ。

知識があるのは、悪いことではない。だが知識は、単に見せるためだけに使っても、単に混乱を広げるだけだ。

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