だからこそ、米国民の同胞の皆さん、あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。

世界の市民同胞の皆さん、米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由のために、一緒に何ができるかを問うてほしい。(ask not what your country can do for you–ask what you can do for your country.)

最後に、あなたが米国民であれ、世界の市民であれ、今ここにいるわれわれに対して、われわれがあなたに求めるのと同じ力と犠牲の高い基準を求めてほしい。善良な良心を唯一の確かな報奨として、歴史をわれわれの行為に対する最後の審判として、神の祝福と助けを求めながらも、この地球上における神の御業を真にわがものとしなければならないことを知りつつ、われわれの愛するこの土地を導いていこうではないか。

米国の歴史と民主主義の基本文書大統領演説

格調高い名演説である。これが日本の2024年の消費税率の政策の正当化で引用されるとしたら、故ケネディ大統領がびっくりするだけではない。現代のアメリカ人の多くも仰天するのではないか。

日本語で、中央政府のことを「国(クニ)」と呼ぶ。実はこれは語法として問題がある。戦前からの日本独特の政治文化の中で培われた文化であろう。しかしそれはそれとして、習慣として「国」が首相を頂点として存在している「政府」のことを意味してしまうのが日本である以上、「国のために何ができるか考えろ、そして文句を言わず国に消費税を払え」、と言っているかのように解釈されてしまう発言は、しないほうがいい。

ケネディ大統領が述べた「あなたの国」の「国」は、「カントリー(country)」で、「国家/州(State)」や「連邦/州政府(government)」とは明確に区別される概念だ。