ネタ二ヤフが違法入植を継続、バイデンの言うことを聞かない=2国家共存否定ではない。基本の基本だ。

伝聞も重要なことだが、人が書いたものばかり。書いたことに本音が出ていないことも多々ある。この場合は米国が「2国家」を求めているかどうかだが、当事者かそれに近い人々と議論しないで、米国は「2国家共存を求めていない」などと決めつけるべきではないだろう。

特にオバマが世界の警察官ではないと言う前から、民主化は進めてきたが、国益から遠いことは、米国はあまり介入したくなかった。ネタニヤフの入植を強く止めることを期待するなら、それは高望みともいえる。中国によるイラン・サウジ仲介をみれば分かる。いつまで、米国にそれらを望むのか?中東から足抜けを進めているのだ。

さらに過去の歴史をみたらよい。米国はイスラエル寄りであるのは間違いない。それは、いま独裁色を強めるネタニヤフと司法危機で揺らぐが、イスラエルが中東で唯一の民主主義国家だからだ。だからと言って、高橋教授が言った「2国家共存を求めていない」、これは事実でない。多分唯一の解決策であるという考えは「不変」といえる。

これも例えば無知な吉永みち子氏が「ガザ南部にハマスが移動する」とかいう。TVコメンテーターとして失格。飛んでもない無知だ。一部は例の地下トンネルを利用。ハマスはとっくに南部に移動、拠点を作っている。北部攻撃のあとは当然南部で、一説では数年以上、準備している。

人質解放が一息ついたら、イスラエル軍はガザ南部攻撃を始める。米国が止めるという楽観論があるが、ほぼ間違いなく、ガザ全てを攻撃対象にする。目標は「テロ集団」ハマスの殲滅だからだ。「思想・感情・憎悪」としてのハマスは永遠に生き残る。だが、組織としてのハマス、特に軍事部門は殲滅される。

行き場がないといえる市民の巻き添え被害が最小限になることを祈る。同時にイスラエルの存在を認めず、和平への話を拒否するハマスの代わりの「自治政府」などが、停戦と2国家共存に向けて話をし始めることを祈るばかりだ。

本当に口惜しいが、そろそろ「卒業になる」ウクライナがあり、中国でほぼ手一杯、中東からの足抜けを計画していた米国。国力が堕ちて、国内問題で、ますます内向き、3正面は間違いなく無理。だが露中を除き、世界の多くが米国に期待する。しかし全うできるか、疑問の声も各所から挙がっている。

{追記}

ガザ情勢、ここ1週間くらい兆候が見え隠れしていたが、明らかに流れが変わって来た。これまでイスラエルを止めるのは国連はもちろん「米国でも無理」と書いてきた。

だが自らユダヤ人というブリンケン国務長官の3度目のイスラエル訪問。
そして通常は国務長官の動きが「表」とすれば「裏」の諜報活動。米諜報CIAの水面下の活動で、米国の本当の動きが分析できる。ウクライナ情勢でもそうだった。(だから筆者は米英諜報の拠点、ドイツを訪問した)
今回も1人の諜報のスーパースターが水面下どころか、表舞台で派手に動いている。
ウイリアム・バーンズ大使。
一回でも大使の経験者は通常「卒業」「お役ごめん」になっても、死ぬまで敬意をもって「大使」と、米国では呼ばれる。
バーンズの現在の肩書は「CIA長官」。さらに、権限は他より少し落ちるが、バイデン政権の「閣僚」だ。副大統領、国務長官、財務長官などの閣僚の一員としてワシントンでは扱われている。
バーンズは英国オックスフォード大を出て、国際関係論における本当の同盟国、英国のことを深く知る。アラビア語、ロシア語、フランス語も上級レベル。ロシア、ヨルダン大使を歴任、昔、アフガン情勢でタリバン代表とも対談した。プーチンのウクライナ侵略でもすぐに陰に陽に動いた。
あまり知られていないが、旭日大綬章にも輝く。
映画「ジャック・ライアン」のモデルの1人とも、真剣な顔した米諜報から聞いたことがある。
このバーンズ長官が、ハマス寄りだが一定の役割を果たすカタールにもまた乗り込み、人質解放など、人道的な部分、より長期間の戦争一次停止、に関して交渉している。
ハマス側の合意を得られれば、その剛腕で、これまで誰の言うことも聞かなかったネタニヤフを説得する構えだ。当然、バイデンがその後ろにいる。
表のブリンケンも同じ方向性で、人質解放と少し長い戦争停止をネタニヤフに、さらに強く求めている。
最初から「個別的自衛権」を重視、基本的にイスラエル支援を公表したバイデン。同時に人道的な部分と2国家共存可能性ネタニヤフに強調していた。
米が史上初めて(負けないが)勝てないかもと感じた。プーチンより格上。対中国で大変なエネルギーを使う。もともとは、永遠に支援できないウクライナも頭痛、中東問題から「足抜け」できればと、楽観的に考えていたはずが、予想外の10/7ハマス「蛮行テロ」を受けて、動いた。