長年、米大統領選の緒戦は1月のアイオワ党員集会で始まり、次にNH予備選挙の順で進められる。多くの場合、この辺りで候補者が篩に掛けられるため、各候補者はこれらの緒戦と討論会とに金と労力を注ぎ込む。今回、討論会に不参加だったトランプは、バイデン司法省の起訴をそれに代えた格好だ。
予備選挙と党員集会の早期化と大規模化により、民主・共和両党の候補は夏の終わりに開かれる全国大会前、多くの場合は3月初め(今年は5日)のスーパーチューズデーにほぼ決まってしまう。トランプがヘイリーに対し、対民主党・対バイデンに金と力を注ぐべく、早期の降板を促す理由がここにある。
そこでネバダ州のことになる。共和党の候補者選びは、2月8日のネバダでの党員集会、そして24日のSC、27日のミシガンの予備選挙へと進むが、実は2月6日にネバダで民主・共和両党の予備選挙が行われるのだ。それが「トランプを苛立たせている」(4日「アクシオス」)。
その理由は、ネバダ州が23年に予備選を導入し、州共和党が候補者は党員集会と予備選挙の片方にしか参加できないと決めたこと起因する。トランプは党員集会に、ヘイリーは予備選挙に参加するが、党員集会への参加者が、予備選挙の期日前投票を済ませた5万人に及ばない可能性があるというのだ。
予備選導入の背景には、民主党が多数を占めるネバダ州議会が、20年のアイオワ民主党党員集会での混乱を受けて、21年にネバダに予備選を設ける方向で動いたことがある。23年5月、共和党は党員集会の継続をネバダ州に訴えたが適わず、党主催の党員集会を24年2月8日に開催すると発表した。
ネバダ州共和党は、2月8日の共和党党員集会で一定票を獲得した候補者に全国大会の代議員26名を比例配分するが、2月6日に州が主催する予備選挙の投票には拘束力を与えず、代議員の配分は考慮しないとしている。が、トランプとしてはヘイリーより票が少ないのでは面白くないという訳だ。
トランプ陣営の不満は、同州の共和党選挙責任者アリダ・ベンソンにも向いている。彼女はトランプの党員集会参加を主張しながら、1月初旬まで開催地が決まらず、ボランティアも動員しないまま産休に入ってしまい、先に降板したラマスワミの側近が、唯一の同州常勤党職員を支援する事態になっている(前述「アクシオス」)。
トランプ同盟者のネバダ州知事ジョー・ロンバルドは、予備選投票用紙のヘイリー以外の選択肢である「これら候補のどれでもない」に投票することを有権者にも勧めている。ネバダ州は75年制定の法律により「どれでもない」に投票することも認めているが、知事がこれではさすがに拙かろうに。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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