しかし、たとえ減税措置が残っていたとしても、トランプ政権はクリーンエネルギーへの移行を遅らせるために多くのことをする可能性がある。

風力や太陽光発電所については、トランプ政権下でそれらが承認されることはなく、クジラの死やその他の環境問題については、極めて徹底的な調査が行われる。

【筆者コメント】 気候変動に係る増税については、風力や太陽光などの自然エネルギーの普及に対して、日本では固定価格買取制度(FIT)が導入され、再エネ賦課金などの名目で、国民から強制的に税金が徴収されている。この他、カーボンニュートラルや脱炭素を推進するために、見えないところで各種の税金が徴収されていることも多い。

4. 石油・ガス掘削

トランプ氏が当選すれば、「かつてないほど国内に存在する石炭、石油、ガスの3大化石燃料のエネルギー生産を解き放つ」と約束している。

バイデン大統領は、アラスカのノース・スロープにおける巨大なウィロー石油開発のような、いくつかの大きな化石燃料プロジェクトを承認したが、同時に、将来の開発を抑制しようともしてきた。4月初め、バイデン氏はアラスカの原生地域1300万エーカーでの石油・ガス開発を阻止した。

米国は世界有数の液化天然ガス輸出国であり、エネルギー省は、ガス輸出が国家安全保障、経済、気候に対してどのような影響を及ぼすか研究していた。その間、バイデン政権は輸出ターミナルの許可を一時停止するなどした。

トランプ氏は、この一時停止を直ちに解除し、パイプラインやその他のエネルギー・プロジェクトを許可すると約束している。

5. 世界的な気候変動運動

国連が毎年開催している世界気候サミットが今年は11月11日にアゼルバイジャンで開催される。

トランプ氏は大統領として、2015年のパリ協定から米国を脱退させた。バイデン氏は就任初日に米国をこの協定に復帰させ、この10年間で米国の排出量をおよそ半分に削減でき、2050年までに大気への温室効果ガスの追加を止めると公約した。