当方は「生まれて初めて頭の中を検査する」ということから少々興奮した。ひょっとしたら当方の頭の中に未使用の「97%の世界」が画像に浮かび上がるのではないかと考えたからだ。肺の機能を見るレントゲン検査ではない。検査の結果は後日分かる予定だ。医師からは当方の頭部の画像を記録したコンパクトディスク(CD)をもらった。
ところで、新たな問題がでてくる。なぜ当方はその能力を3%しか利用できないのか、という現実的な問題だ。聖書の世界では、人類始祖が神の戒めを破ったために、「エデンの園」から追放された結果、人間は神が与えた知恵を利用できないような状況に陥ったというのだ。簡単にいえば、「堕落した」というのだ。旧約聖書の「創世記」では、「人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた」(創世記第3章24節)と表現されている。
なぜ神の似姿の人間がその能力の3%しか利用できず、無知の世界に陥ってしまったのかについて、上記の創世記の説明では不十分だが、「97%の能力」の未使用という状況下に生きている人間の現実はある。すなわち、人間は本来願っている世界からはほど遠いところで生きているという実感だ。だから人類はこれまで無知から知に至るために様々な努力を繰り返してきたわけだ。
いずれにしても、これまで利用できなかったことは残念だが、「97%の世界」は人類に希望がまだあることを意味する。換言すれば、人間の尊厳回復にも通じる。「ホップズの世界」から決別し、本来の希望溢れる心強い世界観が生まれてくるからだ。人間同士が愛し、助けあって生きていく世界が生まれてくるノウハウが「97%の世界」に刻み込まれていると信じるからだ。
参考までに、現代の神経科学は、「脳は安静時であってもほぼ全体が何らかの形で活動しており、使われていない部分はない」と主張し、脳神経の未使用な部分の存在については「単なる神話」に過ぎないと否定的だ。