神は単なる「第一原因」の存在ではなく、森羅万象、天宙の創造主であると信じている。イエス・キリストは「神は愛だ」という。その神が自身の似姿で人間を創造したというのだ。ということは、創造された人間もその神の神性を相続しているはずだ。天宙を創造した「神の知恵」ばかりか、全ての人を愛することができる「神の愛」も継承していることになる。

ウイーン市庁舎前広場のクリスマス市場を訪ねる人々(2024年11月16日、ウィーンで撮影)

ここで問題が生じる。当方の姿が神の似姿とすれば、どうして当方は神のような知恵を有していないのか。この世的に表現すれば、大天才の親のもとにどうして当方のような少々バカな存在が生まれてきたかだ。この問題は深刻だが、ひょっとしたらこれまで未解決の諸問題を説く鍵となるかもしれない。

人間はその生涯でその能力の3%をも使わず亡くなるという。すなわち97%の能力は使われずに墓場に入るというのだ。なんといった無駄使いだろうか。もし全ての能力をフル回転できれば、当方は大天才となり、宇宙創造の謎も分かるかもしれない。「人間は全て狼」とみる英国の哲学者トマス・ホッブズ(1588年~1679年)の人間観は「3%の世界観」から飛び出した悲観論であって、「97%の世界」から起因する考えではない。

当方は宇宙に強い関心がある。「海」より大きいのは「空」だ。「空」より大きいのは「宇宙」だが、その無限大の宇宙より大きいのは人間の「心」だ。だから、人間は小宇宙と言われる。人体を研究し、その機能メカニズムを探究する学者はその緻密な世界に言葉を失うといわれる。宇宙がサイコロを転がして作られたものではないように、人間の人体の中に全ての宇宙の設計が刻み込まれているというのだ。

当方は20日、MRI検査(磁気共鳴画像)を受けた。頭部と腰椎のMRI検査だ。診察ベッドに横たわり、30分余り狭いカプセルの中に入る。定期的に様々な音が流れてくる。かなり大きな音だ。だから、カプセルに入る前にはヘッドホンを付ける。閉所恐怖症の患者ならば狭い場所に30分余り閉じ込められたらパニックになる。だから、カプセルに入る前に医師は患者に質問する。検査中、何かが起きた場合のために、患者は小さなブザーを握っている。不安になったり、怖くなった場合、そのブザーを押せば医師は即、検査を中止して、患者をカプセルから引き寄せる、というわけだ。