さて、学生も名は知れど、中身をよく知らぬ会社に身を捧げようとするわけですから就活終了宣言で喜べるのは3月末まで。4月からは失敗の連続でメンタルに堪えることもしばしばです。学生のうちにボランティアやインターン、更にはバイトで会社と馴染んでおくことも一つの手段です。吉野家の社長がバイト出身で話題になったこともありました。ポイントは学生が持つイメージと就職した際のギャップをどう埋めるかであり、そこを失敗するとの精神的な病、あるいは3年で3割の退職者グループに入ることになります。
お前はどうしたのか、と聞かれれば建設現場の事務方として聞いたことがない言葉が並ぶ業界で必死に覚え、先輩に聞き、体で覚えた、そんな記憶です。割とその当時のことは鮮明に覚えていて今でも昨日のことのような感じすらするのです。そして部署が変わるたびに新たな世界に出くわし、ずっと勉強だったと思います。その点、かなり広範囲な仕事を経験させてもらったことがあとあとの人生のステップに繋がったと思います。
私の場合、部署替えが転職に近いぐらい違う業務となりました。現場勤務⇒不動産事業本部⇒秘書⇒バンクーバーですのでそれぞれのステップに於いて前職の経験が直接的には役に立たなかったのです。その点、努力させられたし、そこを勝ち抜くことで今の自分があるのかと思います。
今の学生さんにアドバイスできることとすれば転職は40年前と違い、短期間に転職しすぎない限り、OKだと思います。むしろ、会社の人事ローテーションに頼るより、自分で可能性を見出す努力とチャレンジをする方が20年後により強く経験豊富なビジネスパーソンになっている気がします。その点で女子は専門職を除き、転職率が低いと思います。企業側が敬遠するのかもしれませんが、女子の総合力を引き上げる点でも転職を支援すべきかと思います。
海外では大学を卒業後、企業に入れる標準的工程はあまりありません。(非常に狭き門として存在します。)よって学生は休みの時期にボランティア、社会貢献、インターンなどあらゆる経験を通じたコネクションを利用し、要領よく企業に入り込むか、さもなければどこかで3年ぐらいキャリアを積んでくるチャレンジ心が求められます。それからすれば日本の学生は世界で最も恵まれており、悩まずに社会人にシームレスでなれるシステムが存在するのは特筆すべき点でしょう。大学を卒業したけれど、という悩みは中国だけではなく、欧米を含めどこでも当たり前です。
学生は就職出来るありがたみをもっと感じてもらい、会社の名前で就職するのではなく、やりたいこと、チャレンジしたいことに向かって突き進んでもらいたいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月3日の記事より転載させていただきました。
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