<一八〇年前(一八四四年)の主な出来事>
・五月 江戸城の本丸が火災にあう。こうした凶事を断ち切るための災異(さいい)改元を行い、弘化とす。
・天保の改革も上手くいかず失脚していた水野忠邦を老中首座に再任。
・オランダ国王ウィレム2世が徳川将軍に親書を送り、開国の勧告。幕府は翌年謝絶。この弘化元年(一八四四年)に幕府の体制に対して、勃然(ぼつぜん)として、色々革新の論議が始まって、幕府はこれに善処出来ず、革新勢力との闘争へと発展していきます。
<一二〇年前(一九〇四年)の出来事>
・二月四日 緊急御前会議にて対露開戦を決定。六日にロシアに国交断絶を通告。一〇日、ロシアに対して、宣戦布告。悪戦苦闘、苦心惨憺の結果、日本の勝利となる。これを契機として日本陸海軍は自信を得、軍部独裁の道を次第に歩み始める。
<六〇年前(一九六四年)の出来事>
・東京、阪神間で電話の即時ダイヤル通話が全面的に可能に。
・四月 OECDに加盟。名実ともに経済先進国としての地位が認められた。またIMF8条国へ移行。世界経済の発展に指導的な役割を受け持つ。
・ビール、酒が全面的に自由化された。
・新潟を中心に大地震が発生。二六人が死亡。さらに昭和石油の原油タンクが爆発。
・九月 浜松町~羽田空港間を結ぶ東京モノレールが開業。
・十月 東京~名古屋~大阪を結ぶ大動脈として東海道新幹線が開業。
・東京都内の自動車保有台数は百万台を突破し、マイカー時代の到来を告げた。
・十月十日 第一八回オリンピック東京大会がアジアで初めて開催された。景気は急上昇し、日本経済は画期的な飛躍を遂げる。
・十一月 池田内閣が総辞職、代わって佐藤栄作が首相となる。
さて、こうして甲辰の年の字義、史実を見ますと、今年の年相がより鮮明に浮かび上がってきたと思います。
六〇年に一度やってくる自然の機運の高まりと社会や技術の革新的な動きが、次の十年を繫栄に導こうとする天意と相俟って、人物を動かし、世を動かすのです。そうした中で、SBIグループの全役職員には次の三点を肝に銘じていただきたい。
第一に、SBIグループ内外の英知を結集し、革新の歩みを力強く、大胆に進め続けなければなりません。このことを各人が潜在意識にまで透徹する程、強く意識して尽力することが必要です。そうすれば竜頭蛇尾に終わることはありません。
第二に、我々は、より広範囲な事業分野によりグローバルに目を向けなければなりません。同時に、グループ内の各組織の有機的結合を常に念頭に置くことがグループの更なる発展に不可欠です。
最後に、SBIグループは今後もどんどん巨大化していくと考えられますが、そこには多様な人財間の同志的結合と言うべき絆(きずな)がなければなりません。それが無ければ、単なる烏合(うごう)の衆と同じです。その絆をもたらすものが、グループ各社、各人に共通した普遍的価値観をベースにした「理念」です。我々は、日々の仕事に忙殺されることなく、時にこうしたことを深く考察する「閑」を持つことが必要です。
編集部より:この記事は、「北尾吉孝日記」2024年1月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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