AKB48の「神セブン」はとうに過ぎ去ってしまった話ですが、アメリカの「神7」は今、まさに渦中にあります。しかし、日本の神セブン同様、凋落してしまうのでしょうか?

アメリカの神7とは英語でMagnificent Sevenと称されるアメリカを代表するハイテク絡みの企業群を指します。具体的にはアルファベット(グーグル)、アップル、メタ(フェイスブック)、アマゾン、マイクロソフトのGAFAMにエヌビディアとテスラが加わったものです。そもそもMagnificient  Sevenは黒澤明監督の「七人の侍」がアメリカで1960年に西部劇版としてリメイクされ「荒野の七人」となったものが言葉としての語源です。

アップルパーク DutcherAerials/iStock

では現代版「七人の侍」は無傷なのか、と言われるとこれは評価が分かれます。それでも2023年には一様に5割から数倍の株価上昇をしたのは究極的には市場に流れ込む巨額の投資資金の受け皿に尽きるのだと思います。

例えば日本政府がアメリカ国債を買い続ける理由は何でしょうか?そう、資金が巨額過ぎて他に安定的に買える投資先が少ないのです。同様にアメリカの機関投資家やファンドなどは数百億円単位の投資をする中で小粒の企業に資金を投じたり、売却退散するには株価に極めて大きな影響が出やすくなります。とすれば時価総額がある程度あり、発行株数が多く、売買のボリュームが常に高いところが主役になります。

また発行株数が多く、時価総額が高いと「売り方(ショート筋)」もなかなか攻めにくくなります。つまり売り崩しをするには相当本気で相当の悪材料のネタがなければ勝てないのです。とすれば基本は買い方の方が有利になりやすいというシナリオがあり、機関投資家には都合がよいわけです。

しかし、その神7にほころびがないとは言えません。1月2日、2024年取引開始早々市場をにぎわせたのがアップルに売り推奨を出したバークレイズ証券の見解で「iPhone15は精彩を欠き16もそうなるだろう」というものです。通常、一証券アナリストの判断で市場全体が揺れることはありません。ましてやアップルに対しては少なくとも37の証券会社が分析を出しており、売り推奨はわずか4つだけであり、マイナーな分析のはずです。それにもかかわらず市場が機敏に反応したのは何故でしょうか?