定期的な立入検査はない

 食品工場や食料倉庫には、保健所や農林水産省などによる定期的な立ち入り検査はないのだろうか。

「JAの精米工場でいえば、農水省の管轄なのか、厚労省の保健所管轄なのか、グレーゾーンだった。話し合いで、基本的には保健所ということになった。ただ、保健所が監査に入っているかといえば、それはないだろう。ちなみに、農家やJAは農水省の管轄だが、農薬を正しく使っているか、家畜の糞の処理は適切か、農産物の保管場所に不適切なものが落ちていないかなど、農水省の人が現地に見に行ったりするような管理はまったくしない」(武田氏)

 衛生管理のためには、食品工場やメーカーなどは自主的に第三者認証を取得すべきということである。

「全国の保健所数や人員を考えても、国が管理できない以上、要は未然に事故を防ぐ活動能力はないということ。そうすると、やはりGAP認証のような民間の第三者機関による認証制度などを使いながら管理するしかない。東京五輪も大阪万博もそうだが、イベント業者なども食品事故を会場内で起こさないように利用している」(武田氏)

 前出のJA北河内広報誌では反省点として「役職員のコンプライアンス意識の欠如および組織としての管理態勢に問題があった」としている。トップの衛生管理意識が低いと、現場の管理が乱れるということである。

(文=横山渉/ジャーナリスト、協力=武田泰明/GAP総合研究所専務理事)

提供元・Business Journal

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