東大法学部卒の政治家の評価がガタ落ちです。区長選を巡る買収で、柿澤未途衆院議員(自民を離党)が200万円程度の買収容疑で逮捕されました。東大法学部卒、元NHK記者でした。法学部で学んだ意味がありません。区長選、200万円で国会議員のポストを棒に振る。二重に愚かです。
岸田政権では、1年前、葉梨康弘法相が「法相は票とお金に縁がない」の暴言で更迭されました。東大法卒の警察官僚でした。寺田稔総務相は政治資金問題ではやり更迭されました。東大法卒、財務官僚出身です。
東大のホームページは法学部について「幅広い視野を持ち、法学的思考、政治的識見の基礎を身に着けた人材を送り出すための教育、研究の場」と書いています。東大総長には、卒業式の式辞で「政治家になっても、逮捕されるようなことだけはしないでくれ」」と語りかけてほしい。最高の学歴である東大法卒が日本を悪くするとは、歴史の逆回転です。
世界に目を向ければ、まず「戦争の世紀」に逆戻りしています。イスラエルとガサの報復合戦には目を背けたくなります。冷戦が終わって(1991年)「歴史の終り」という本が有名になりました。
歴史は終わるどころか、今も昔も変わっていない。イスラエル王国が成立したのは紀元前11世紀ころとされ、エルサレムを首都としました。以来、イスラエルはバビロニア、アレクサンドロス大王、シリア、ローマ帝国、ペルシャに占領されるなど、少なくとも3000年間、戦争と報復の歴史だったのでしょう。高まっている国際的な非難など歴史の一コマにすぎない。
米大統領選挙では、トランプ氏が再選される可能性があるそうです。そうなれば歴史は4年前に逆戻りする。民主主義の象徴である米連邦議会への襲撃を扇動したとされているし、納税義務も軽視している。最大の民主主義国がこんな問題を抱え込むとは、トランプ以前は誰も想像していなかった。
世界が大混乱期に入った背景としては、ポピュリズムの台頭、国際協調の弱体化、米中の覇権争い、デジタル情報戦争、経済的格差拡大、貧困や紛争がもたらす難民の増大、人口動態の変化(少子高齢化)、経済成長の停滞、地球温暖化問題など、多くの重層的な要因があるでしょう。
21世紀は地球環境の悪化、安全保障関係の悪化、民主主義の後退による政治環境の悪化など、多くの苦難が待ち受けているに違いありません。これまでの「歴史の進歩」がご破算になり、これまでの枠組みに対する逆回転の歯車の勢いがますことになるでしょう。個別の問題ばかりに目を奪われず、大局的な視野をもつことが必要です。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2023年12月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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