YPFの株主
レプソルは1999年にYPFを買収し、買収時から2倍の3万7000人の従業員を抱え、30か国以上と取引するまでに成長させていた。ラテンアメリカで最大のエネルギー分野の企業として成長させていた。
2007年にはアルゼンチンのコングロマリットピーターセングループに15%の株を取得させた。そしてレプソルは57%の過半数の株を有し、残りの株を複数の民間企業が購入していた。(Wikipediaより引用)。
ところが、90年代に入ってアルゼンチン政府はエネルギー産業を国家の運営で担うという方向に進んでいた。そこで注目したのがYPFの存在であった。政府はそれを強引に国営化させるべく乗っ取りを行った。そしてレプソルに対し僅か37億ドルの賠償を約束。しかし、YPFには少数派の株主もいた。彼らは、レプソルに対して振舞った政府の待遇と同等のもの政府に要求したが、それが叶えられなかった。それに注目したのがファウンド企業バーフォード・キャピタル(Burford Capital)である。同企業はこの少数派の株主から株を50億ドルで購入し、訴訟権も手に入れた。
それでもって、ニューヨークの法廷にアルゼンチン政府の不当な待遇を訴えたのである。何しろ上述したように、YPFはウォールストリートでも株を公開していたからである。
ニューヨーク法廷での判決で160億ドルの賠償金の支払いが命じれたその判決が下されて、アルゼンチン政府はバーフォード・キャピタルに対し160億ドルという高額の賠償金を払わねばならなくなった。(12月27日付「インフォバエ」より引用)。
勿論、この不祥事を起こしたのはクリスチーナ・フェルナデス・キルチネール政権下であるが、この賠償をせねばならないのはアルゼンチン現政府である以上、ミレイ大統領政府が賠償せねばならない。現政権にはお金が不足しているということが理由で、「キチロフ税」を設けて、国民からこの税金を徴収する意向のあることをミレイ大統領は明らかにしたのである。
これはキチロフ元経済相とクリスチーナ・フェルナデス・キルチネール元大統領の責任である。その責任を国民が素直に受け入れて払う意向など無いことは明白である。政府は実際には賠償金はどこから工面するはず。1月10日に最初の支払いが義務づけられている。
しかし、このような形で税金とする意向を示したのもキチロフ氏はこれからキルチネール派のリーダーとなる可能性があるからである。それを今から彼の芽を摘んでおく意味でもキチロフ税と呼ぶことに現政府は決めたようだ。キチロフ氏は現在ブエノスアイレス州の州知事である。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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