現代における戦争は近代兵器による戦いが主流でそれを補完するように地上戦が行われる流れかもしれません。ウクライナはただでさえ人口が激減しており、適齢の兵士も不足する中、アメリカから長距離砲をロシア領土にむけて攻撃する許可をついに得てしまいました。私が想像するバイデン氏の計算は「トランプ氏が25年1月に大統領に就任すればアメリカからの軍事支援は止まる可能性が高い。とすればウクライナは何らかの形で停戦、休戦、終戦に向けた交渉を行わねばならない。その際、その時の陣地形成が交渉の基準になると考えればトランプ氏が就任するまでの残された2か月でロシア側にダメージを与え、ウクライナに有利になるよう仕向ける為にもここは今までこらえてきた禁断の判断をすべきだろう」と。
当然、この判断には批判が集まります。一番わかりやすいのは「なんで今頃?」「そうするならもっと早くすべきだった」であります。アメリカ民主党政権は外交のグリップが甘いとされ、今回もこんな間際にヤケクソ気味に長距離砲による打撃を許可したわけです。
さて、トランプ氏はどんな停戦工作をするのでしょうか?私が考える基本の発想としては①一定幅の国境沿いの非武装地帯創設 ②ウクライナ東部の割譲 ③ウクライナのNATO加盟申請の留保 ④戦争責任の回避が俎上に上がると思います。その場合において和平交渉を2段階にし、第1弾で基本交渉内容の合意と暫定的停戦、次いでゼレンスキー氏の大統領からの辞任と新大統領選定、及び新政権による詳細条件交渉とするのが私の描くシナリオです。私の中にゼレンスキー氏とプーチン氏が交渉の矢面に立つシナリオは頭の中で描けないです。
ただプーチン氏がトランプ氏の和平工作に乗るかどうかも五分五分だとみています。(ブルームバーグが本日、和平交渉の可能性を示唆するニュースを流していますが、信ぴょう性は疑問とされます。)プーチン氏が一筋縄でいかない理由はトランプ氏の手腕は前回の大統領就任時とは違うことを見透かしているからであり、NATOとトランプ氏の距離感など西側陣営が一枚岩になれるのか揺さぶりをかけてくるとみています。プーチン氏は急ぐ必要はなく、また北朝鮮兵が参戦していること、更にこれから冬になるにあたり、ウクライナへの進軍がしやすくなることがプーチン氏が有利になると考えられます。