しかし裏を返せば、HSPの人たちは残り8割の人々の共感を得にくく、無理に自分を周囲に合わせようとして「生きづらさ」を感じるケースも多々あるのです。
このようにHSPの特性は「生きづらさ」という点に帰着することが多いのですが、決して悪いことばかりではありません。
新たな研究では、HSPの存在が会社にとってポジティブな作用をもたらすことが示されたのです。
繊細さんは会社にプラスの作用を与える
HSPが他の人々に比べてストレスを感じやすいことは、主に児童や大学生を対象とした研究ですでに示唆されてきました。
しかし一方で、会社で働く社会人を対象とした同様の調査はありません。
そこで大阪大学国際教育交流センターは今回、日本国内の企業に勤務している18〜81歳の社会人296名を対象に調査を実施し、HSP特性と職場でのストレスの関係を調べることに。
その結果、まず、調査参加者の約26%が「HSP特性の高い社会人」に当てはまることがわかりました。
そしてHSPの特性が高い社会人ほど、「周囲に疎外されている」と感じやすく、ストレスを感じやすい傾向があることが示されたのです。
やはりHSP傾向が強いと、会社内のさまざまな出来事に敏感に反応して、ストレスを抱きやすくなると考えられます。
ところがその一方で、HSPの特性が高い社会人ほど、同僚など他の人への共感能力も高いしことが示されたのです。
研究者はこれを受けて、「HSPは同僚の気持ちを思いやって共感できるため、『自分の気持ちをわかってもらいたい』という人々の欲求を満たし、周囲と協力して仕事を進めることができる」と指摘。
それを踏まえて「HSPは企業にとってポジティブな存在となる可能性が高い」と説明しました。