■あちこちに漂う救いのなさ
本作のシステムはタワーディフェンス+3択強化のローグライトをベースにしつつ、そこに「戦う少女」と『Papers, Please』のような政治的要素を合わせることで、オリジナリティ溢れる作品に仕上がっているという印象です。
ストーリー面についてはここで説明すべきかどうか大いに悩むところではあるのですが、基本的にはほぼ、不幸になると思ってください。
まぁ、兵員不足という理由でただのパン屋にすぎないマルフーシャ達を徴兵している時点で、カゾルミアが末期的状況なのは明らかですよね…。
ただ、登場人物が不幸になるための道筋がとにかくたくさん用意されていて、そのどれもがプレイヤーの心にグサリと刺さるものばかり。
思い出すたびに心が痛んだり、「救いはないんですか?」と叫びたくなったり…こんなシナリオを生み出した開発者はきっと不幸のマイスターに違いありません。
その上、たとえ終わり方は悲惨なものであっても、そこに至るまでの過程はツンデレ上司や同部屋の相棒とのほんわかコミュニケーションであったり、ささいな幸せを見つける日々であったりするので、落差で余計に落ち込みます。
とはいえ個人的には確実にプレイヤーの心の中に何かを残していく作品だと思いますので、ここまでの説明で惹かれた人には強くおすすめしたい作品です。