今から20年前の2004年11月、アメリカで最も重要なUFO遭遇事件の一つ、ニミッツの遭遇とも呼ばれるチクタクUFO事件が発生した。この事件は未確認飛行物体への関心を再び高め、議会による調査のきっかけとなった。しかし、この画期的な調査がラスベガスに端を発していることはあまり知られていない。国防総省はこの事件を軽視し、米海軍は調査すら行わなかった。しかし、チクタクUFO事件は、結果的に重要な調査へとつながる重要な転換点となったのだ。

 2004年11月、USSニミッツ空母打撃群の艦船と航空機は、南カリフォルニア沖で2週間にわたり、正体不明の物体を数十回も目撃した。

 2機のF-18戦闘機に搭乗していたパイロットたちは、驚異的な能力を持つ奇妙な飛行物体と遭遇した。19年後、この時のベテランパイロットの一人が、議会公聴会で自らの体験を証言した。

「2004年11月に私たちが遭遇した『チクタク(tic tac)』と名付けられた物体は、当時、そして現在においても、私たちが保有している、あるいは今後10年以上かけて開発しようとしているものよりもはるかに優れていた」と、第41攻撃戦闘飛行隊「ブラックエース」の司令官だったデイビッド・フレーバー氏は述べている。

 フレーバー氏によると、2004年当時、米海軍や他の政府機関による調査は一切行われなかったという。まるで事件自体が無かったかのように扱われたのだ。

歴史的遭遇“チクタク”UFO事件「ニミッツの遭遇」の真相とは
(画像=原子力空母「ニミッツ」 画像は「Wikipedia」より、『TOCANA』より 引用)

ラスベガス発の調査

 しかし、4年後、ラスベガスで転機が訪れる。コム・ケレハー博士は、ビゲロー・エアロスペース先端宇宙研究(BAASS)の応募者からチクタクUFO事件の話を聞いた。BAASSは、ラスベガスの大物実業家ロバート・ビゲロー氏によって設立され、国防情報局(DIA)のためにUFOに関する極秘調査を行っていた。

「高度航空宇宙兵器システム応用プログラム」、略称AAWSAPと呼ばれるこのプログラムは、チクタクUFO事件の調査を最初の任務とした。

 チクタクUFO事件に関する情報は断片的に公開されていたものの、世間一般の注目を集めることはなかった。しかし、2017年にニューヨークタイムズ紙が一面でこの事件を取り上げたことで、議会で非公開の報告会が行われるようになり、ついには公聴会が開かれることになった。

 国防総省の職員はことあるごとにチクタクUFO事件を軽視し、もっともらしい説明を示唆してきた。それはソーシャルメディアで声高に主張する、必ずしも専門知識を持つとは限らない否定論者たちの主張と似通っている。

「鳥だと言う人がたくさんいて、後始末が大変だった。話の続きを知っているのに、話せない」と、未確認航空現象タスクフォースの元長官、ジェイ・ストラットン氏は言う。