中国の習近平国家主席が提唱した新シルクロード構想「一帯一路」が発表されて今年で10年目を迎えたが、それを祝賀する第3回「国際協力サミットフォーラム」が17日から2日間の日程で北京で開催された。北京発によると、参加国151カ国、41の国際機関から1万人以上の代表者が集まったという。ただし、慣例の首脳陣全員参加の円卓会議は開かれず、共同声明はなく、参加国の2カ国間会議、テーマごとの専門会議が主に開かれた。

UNIDOとファーウェイが提携して設立した「AIM Globa」発足式(2023年7月10日、ファーウェイ社HPから)

中国側の発表では、2023年6月の時点で、150カ国と30の国際機関にまたがる200以上の「一帯一路」協力協定により、中国と相手国間の輸出入総額は累計19兆1000億ドルに達し、2013年から2022年までの年平均成長率は6.4%という。

王毅外相は、「今回のフォーラムで合計458件の協力成果が達成された」と述べて、会議の成果を誇ったが、参加した首脳陣の数は2017年、19年の会議より減少し、中国から巨額なインフラ投資や財政支援を受けた開発途上国が債務漬けで経済的困難に陥る一方、主要国首脳会議(G7)で唯一、2019年に参加して注目されたイタリアのメローニ首相は今年9月9日、離脱を表明するなど、習近平主席の肝煎りの「一帯一路」は10年前の勢いを失い、急速に減速してきている。

同フォーラムで注目されたのは、会議の内容というより、国際刑事裁判所(ICC)から戦争犯罪人として逮捕状が出されて以来、旧ソ連圏以外で初の外遊となったロシアのプーチン大統領の中国訪問だ。北京側もプーチン大統領の動向を大々的に報道し、習近平国家主席はプーチン氏と3時間に及ぶ会談を行い、ロシアと中国の関係強化を内外にアピールしたばかりだ。

ここでは中国側が低迷する「一帯一路」を補強し、再活発化するために国連の工業開発専門機関、ウィーンに本部を置く国連工業開発機関(UNIDO)と急速に関係を深めてきていることを報告する。

UNIDOへの最大の拠出国は数年前から中国だ。特に、8年間、前UNIDO事務局長だった李勇(元中国財政部副部長)時代(2013年~21年)に、UNIDO内の中国の影響がプロジェックト数、人材面でも深まっていった。2021年12月からドイツのゲルト・ミュラー現事務局長(前独経済開発協力相)が就任した後もその流れは変わらないどころか、より深まってきている。

実例を挙げると、UNIDO、ファーウェイおよびその他のパートナーは今年7月、第6回世界人工知能大会(WAIC)で「産業と製造業のための人工知能に関するグローバル・アライアンス」(AIM Global)を正式に発足させた。UNIDOが中心となり、AIM Globalは官民のパートナーを統合し、産業と製造業におけるAIの利用とイノベーションを推進するという。米国や欧州連合(EU)がファーウェイがセキュリテイ上危険としてその使用を禁止している時、UNIDOはフェ―ウェイとの関係を深めているわけだ。ちなみに、UNIDOは北京に本部を置く国際開発金融機関の「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)との連携も強化している。