消える株価乱高下の新興市場マザーズ
マザーズといえば新興市場の代名詞。22年4月の東証再編でマザーズ市場は消えたものの「東証マザーズ指数」はなぜか存続してきました。それも遂に11月6日に消え、市場からマザーズの名は無くなります。近年のそのチャートが物語るものは2000年代に入り、新興型企業の時代到来と若手の躍動でした。新しい世紀になり、バブル崩壊から10年という節目を経て、いよいよ世代交代かと思わせたのです。
実際にマザーズからはZOZO、メルカリ、そーせい、ペッパーフード、MonotaROと成長した銘柄も多く、大企業に歯をむき出しにして勝負に挑む勇ましさすらありました。当然ながらそこではテンバガー銘柄(株価が10倍になる銘柄)も現れましたが、指数だけで見るとライブドア事件がこの市場の全てであったと思います。問題が発する前である06年1月の指数は2800をつけていたものが08年10月には256まで落ち込むのです。指数が10分の1以下というのはいくら何でも無茶苦茶なのです。
この値動きの荒さがマザーズの人気離散につながりました。その後の指数も18年の1368をピークに下落に転じ、現在は660程度。日本はエンジェル投資家が少ないとされる中でマザーズの人気はそれらを側面支援する方法でした。しかし新興市場に対する不信感はバブル時代に株でやられた人に「またやられた!」と思わせました。次々と上場する横文字の社名は何の会社だかさっぱりわからず、何のための上場だったのかわからない会社も多かったと思います。その点では東証の生み出した失敗市場だったと思います。「日本人はお堅い投資がお好き」なのにテンバガーではなく持ち株の価格が10分の1になって泣かされた投資家を笑うのではなく、そのような企業を上場させてしまったことを反省すべきでしょう。
貧乏になる中国人バンクーバーは中国人のメッカ。そしてコロナ前までは恥ずかしいほどブイブイいわせ、金に糸目をつけず、ブランド物でも最上級のモノだけが価値あるぐらいの勢いでした。私はバブル時代の申し子ですのでその姿に懐かしくも、またいつまでもつのかという懐疑心の混じった複雑な気持ちで眺めていました。息子や娘にベントレーやランボルギーニを買い与え、寿司屋では一人3万5千円のコースに群がり、一人2万円の飲茶に「まだ行っていないの?」というアホアホぶりに苦笑いすらしたものです。
ニュースでは中国への外資の直接投資が7-9月期に統計を取り始めてから初めてマイナスになったと報じられています。その額1兆7千億円。外国企業からすれば「危険、退散せよ!」なのでしょう。これは中国国内の経済を中長期的に圧迫するほか、中国からは富裕層が逃げ出すことになるでしょう。問題はどうやって資金を海外に持ち出すかですが、アングラ流通経路が発達した国だけに何らかの方法は常に見つけているようです。そのマネーの一部は日本の不動産に向かうとみていますが、一時の勢いある買いというより、消去法的購入とみています。
中国人目当てのビジネスをやってきたカナダの企業、例えば中国人御用達だった「カナダグース」のダウンは売れず、株価は下げる一方。当地に雨後の筍のように出来た価格だけが高い高級風すし店に対して私は1年ぐらい前から「半分は無くなる」と申し上げています。ここからが本当の勝負どころでしょう。とはいえ、彼らが押し上げたカナダ経済は逞しかったと思います。そんな中、カナダはついにテクニカルリセッションとなりました。化けの皮が剥げたということですかね。
後記 ハロウィーンが終わったと思ったら街からクリスマスの音楽がちらほらと聞こえ、もうそんな時期になったのか、と思います。日本はこの時期にしては記録的な高温ですが当地は山に初冠雪、気温も早朝は1度ぐらいと冷えてきました。昨日は弁護士事務所のひと足どころか3足ぐらい早いシーズンのパーティ。この次のクリパは11月17日。出席する側としては12月第一週に集中するよりばらけてくれた方がはるかに助かります。久々にゆっくり堪能できたパーティーでした。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月4日の記事より転載させていただきました。
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