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「走りの現場」では評価一変!大物喰らいの代表格
あまりに速すぎた伝説のマシン
「走りの現場」では評価一変!大物喰らいの代表格
しかし買い物など日常ユースから舞台を変え、モータースポーツやツイスティな峠など、「走りの現場」に行くとその評価は全く正反対になります。
平べったいクラウチング・スタイルはミズスマシのように走る低重心、四隅に置かれたタイヤは高速から超低速まで、振り回してからビタッ!と方向をキメて加速する安定性は抜群ですし、国産車初というSOHC4バルブエンジンも、DOHCでもないのによく周りました。
そうか買い物グルマと思った俺たちが悪かった、これは「公道を走るレーシングカート」だな?と気づいたドライバーたちが、ジムカーナ競技や夜の峠に持ち込むと、まー走るは速いわ。
デビュー当時のジムカーナ競技、すなわち「ストレートなどほとんどなく、スタートからゴールまでひたすらRの小さいカーブを旋回、急加速、急減速、旋回を繰り返すステージ」なら、初期の1.2リッターシングルキャブエンジン(76馬力)でも十分に速かったのです。
1988年10月に追加されたGA2型、1.3リッターSOHC16バルブ「D13C」の電子制御インジェクション版(100馬力)を積むCR-iやCZ-iになると、もはや「シティタイプR」!
筆者も1度ジムカーナ練習会で試乗しましたが、ただ曲がるだけで猛烈な横Gに襲われながら小さいコーナーを破綻もなく駆け抜け、どこから踏んでも加速するんですから、「コレに勝とうと思ったら旋回性能以外の何かがよほど秀でていないと…」と、ウンザリ(※)。
(※当時の筆者は、ダイハツ ストーリアX4でGA2に勝とうと無謀な挑戦をしていました)
さすがにスピードの「伸び」という面では大排気量車に分があったとはいえ、狭苦しいところをチマチマ走り回るコース設定なら、「今日はシティのためのコースだな!」と言われ、実際よほどのトップドライバー以外、GA2シティに負けて当然だったのです。
あまりに速すぎた伝説のマシン
当時のジムカーナA1クラス(排気量1.3リッター以下)をはじめ、「GA2のライバルはGA2」という状況になったGA2シティですが、2000年代に入ってモータースポーツの諸規則が相次ぎ変更、クラス区分なども変わると、シティの居場所は極端に限られます。
要するに「古くさいクルマがいつまでも主要クラスでハバ効かせてたら、自動車メーカーも迷惑」というわけで、参加者が少ない改造車クラスに追いやられたGA2シティは急速にその数を減らし、消えていきました…さすがにシビックやランエボが相手では分が悪いですし。
その後も、ローカルイベントで時々「GA2シティでも出られるクラス」が設定されると、参加してはブッチギリで勝ってしまうので、他の新しいクルマでは全く勝負にならず、結局は「シティ潰し」のようなルール作りが基本。
ラリーではその後も活躍しましたし、車両規則的な意味での縛りがない公道なら楽しむ余地はあったので、たとえば漫画「頭文字D」で藤原拓海のAE86トレノとバトルさせたら、カプチーノ戦より意外性があって面白かったと思いますが…(※)。
(※山口かつみの漫画「オーバーレブ!」では実現し、BMWのE36型M3相手に大勝利)
もしそんなバトルが実現していたら、GA2の5速MT車は中古車相場も爆上がりしたかもしれませんが、実際は元が不人気車だっただけにタマ数も少なく、CZ-iのノーマルに近い個体で138万円程度と、かなり控えめな数字ですね。
もし競技車上がりの中古でも見つかれば、ヘタにタイプRだVTECだってより、よほど面白くて目からウロコが落ちます。
実用車としては失格もいいトコでしたが、走り好きなら一度は乗ってほしい「隠れた伝説の傑作」です。
あ、ボディ剛性は当時のホンダらしくヨレヨレなので、本気で走る時はリアハッチが開かぬよう、ガムテープ等での固定を忘れずに…
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・兵藤 忠彦/提供元・MOBY
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