するとカエルたちの化石のかなりの部分が、体全体のパーツがそろった完全性の高い化石であり、骨にも傷が少ないことが判明します。
つまりカエルたちの死体は生前も死後も損傷を受けてはいなかったのです。
研究主任のダニエル・フォーク氏は「カエルの骨には捕食者に襲われたり死肉を漁られたような痕跡(傷)はなかった」と述べています。
また地層や化石を分析したところ、カエルたちが大量死した時期に沼地が干上がったり大洪水が起きたという証拠も見当たりませんでした。
同様にプランクトンなどの大量発生により水中の酸素レベルが急激に低下という説も否定されました。
大量死したカエルたちは交尾の時期以外は水から上がって生活する「ヒキガエル」に属する種であり、特定の水域で酸素不足が起きたならば、別の場所に簡単に移動することができたからです。
つまり考えられる死因は環境変化や捕食者などではなかった可能性が高いのです。
では一体何がカエルたちに大量死を引き起こしたのでしょうか?
「行き過ぎたセックス」が大量死を招いていた!
何が古代のカエルたちの大量死を引き起こしたのか?
鍵となったのは、現在のカエルたちが起こす大量死でした。
一部のカエルたちは気候や食べ物となる虫たちなど、生存のための環境条件が恵まれている場合、爆発的な繁殖を起こすことが知られています。
このような爆発的繁殖が起こると、1匹のメスに複数のオスがのしかかり巨大な「交尾玉(mating balls)」と呼ばれるカエル団子が形成されます。
このような状態になるとカエルたちは動きがとれず、中心のメスだけでなく周囲のオスも一緒になって「溺死」したり「過労死」してしまうのです。
そして死亡したカエルはしばらく水面を漂った後に沼底に沈んでいき、パーツのそろった綺麗な化石になったというわけ。