「それは一体何なのでしょうか」
「それは、自分の力量がどうあれ、目の前のお客様に全力を尽くすということです」
今でもこの言葉は強く印象に残っています。
今持てるすべての力でサービスをすることが重要結論からいえば、私自身の経験や他の方の意見を概括すると、2、3年も取り組めば実務知識としての土台は身につきます。前述のとおり、そもそも完璧な業務知識というのはないのですから、士業としてのバックボーンが身についた後は、独立するかどうかのタイミングは自分で判断するしかありません。
重要なのは、そうした実務家としての準備ができたあとは、「一士業として目の前のお客様からいただいた仕事を自分の責任でできるか」という覚悟ができるかどうかです。もし、この覚悟ができなければ、まだ開業には早いといえます。
私自身は、まったく実務の土台がないところから始めました。ですから、この点に関しては長い間コンプレックスがあり、早い段階で「専門家」として胸を張って行動したいと考えていました。しかしながら、生活のために営業をしながら実務の知識を深く学ぶということは、1日の時間がいくらあっても足りず、結果として中途半端になってしまう恐れがあります。そこで、私は次のような方法を採りました。
ある程度の調査能力、応用力が付けば後は自分のタイミング私が取った実務家としてのスタンスは、(1)広く浅く知識を身につける、(2)いつでも調べられる状態にしてわからないことは持ち帰る、という二点です。
どの士業であれ、まったく知らない分野があるというのは、お客様にとってやはり不安の要素になってしまいます。特に行政書士のような業務が多岐にわたる資格では、広範囲の知識を深く覚えることは大変なのですが、それでも「それは知りません」ではお客様の信頼を得ることはできません。ですから、最初は広く浅く知識を身につけ、そして徐々に知識を深めていくことが一流の実務家になるための最短距離だといえます。