もうひとつは、大阪の凋落である。関西財界の落ち込みにより、大阪の高級料亭は商売あがったりである。一方、京都の経済はそこそこ好調であり、観光客の財布の紐は緩い。その結果、関西の優れた料理人たちは京都に集まるようになった。こうして、いまや京都は昔からグルメの都だったかのように振る舞い、それがある程度通用しているのである。
「ミシュランガイド京都・大阪2024」による三つ星レストランは、京都5店、大阪2店、京阪間の茨木1店である。以下、寸評と二つ星のリストを示す。
■三つ星
【京都】 瓢亭 (日本料理)・・・南禅寺門前の茶屋から出発した老舗で茶懐石の伝統を出発点にした料理の最高峰。
一子相伝なかむら (日本料理) ・・・文政十年(1827年)創業でぐじの酒焼が名物の老舗だが、海外のシェフたちの交流で新境地を開く。
祇園さゝ木 (日本料理) ・・・佐々木浩氏は、滋賀県の料理屋の子で大津市の老舗料亭で学んだ。大皿料理など豪快で躍動感がある演出と大胆な発想。
菊乃井本店 (日本料理) ・・・東山真葛が原の老舗だが、村田光弘氏がフランス滞在などでインスピレーションを得て、京料理のルネサンスに成功。
未在 (日本料理) ・・・大阪高麗橋吉兆本店」から出発し、「京都吉兆嵐山本店」の総料理長を経て独立。
【大阪】 太庵 (日本料理) ・・・吉兆から唯一、のれん分けをゆるされた大阪「味吉兆」で修業した髙畑均氏の店。豪快な焼き物をメインに据えるなどで新境地。 HAJIME (イノベーティブ) ・・・ロワール地方のレンストランで修業し、洞爺湖ウィンザーホテルを経て開業。イノベーティブ料理として世界でも有名レストランのひとつ。 柏屋大阪千里山 (日本料理) ・・・松尾英明滋賀県八日市の招福楼で修業して実家を継いだ。季節の移り変わりに沿った日本文化を料理に反映。