このような偏頗的な扱いは報道機関の中立公正性という別個の問題として取り上げられるべきものですが、安藤教授はさらに民主政の問題であると論じていることになります。

対して、この話は衆院選の投票箱が閉まった後の放送だから選挙の結果には影響しておらず大したことでは無い、と考える向きも見られます。

しかし、「自民党の裏金議員」という印象を植え付けられてしまった者にとっては、そのイメージは簡単には拭えず、突発的に行われる各種選挙はあり得るのであり(兵庫県知事選挙など)、そして来年は参院選も待っているわけです。その際に、今回植え付けられたイメージというのは、個人によっては大きく影響するでしょう。

選挙を一回限りのお祭りと考えていると「大したことない」になるんでしょうが、人間社会は切れ目のない連続なのであり、そこに生きる人間の認識に与える影響を語っているわけです。

大手のテレビ局がこぞって放送したということの拡散力の凄まじさ、それによる影響力は重大なものであり、たとえば対立候補の野党議員が街頭演説で当該選挙区の有権者に対してのみ伝えるものとは、また別の影響の話として論じるに値する話でしょう。

(今般の選挙では、自民党や候補者に関して「裏金」のイメージを与える発言をする(自民党候補者から見た)対立候補者が多々見られた)