クリスマスのプレゼントとしては、女性は衣服、香水など化粧用品が多く、男性も衣服類への需要が増えてきている。また、男女の区別なく、電気製品への関心が高い。オーストリアの消費組合によると、昨年のクリスマス期間の総売上げ高は約4億ユーロだったが、今年は前年比で2000万ユーロほど減るものと予想されている。「国民経済が良くないこともあって、消費より節約する傾向が出てきている」という。ウィーン市民はクリスマ用プレゼントに平均281ユーロ使うという。
ところで、なぜ人はクリスマス・シーズンを楽しみにし、プレゼントを交換したり、市場を訪れプンシュを飲むのだろうか。クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝うというのが理由だが、教会に通うキリスト信者の数は年々少なくなっている。毎年、考えるテーマだ。人間は多くの人々が集まる場所が恋しいのだろうか。口の悪い人は「クリスマス市場」ではなく、「ウインター市場」と呼ぶべきだというのだ。
一方、目を世界に向けると、イエスの生誕の地、中東では戦争が続いている。多数のイスラエル人、パレスチナ人が犠牲となっている。ウクライナでもロシア軍との戦争が継続されている。戦争で息子、夫を失った人々は今年のクリスマスをどのように過ごすのだろうか。
クリスマス市場のイルミネーションの世界と砲弾・ミサイルが飛び交う戦場との間には大きなコントラストがある。それは単に「戦争と平和」の対比というより、「幻想と現実」のコントラストだろうか。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年11月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。