その理由については、体毛の減少が関連していると考えられています。
WDSを起こす哺乳類は、霊長類と比べて体毛の密度が高い毛深い生物であることが報告されています。そのため毛の密度が低下した霊長類や、ほぼ体毛を失っている人間からはWDSが失われたというのです。
もう1つの理由は、霊長類が手を使って異物を排除できるようになったためだと考えられます。
WDSは自分の手が体のほとんどの部位に届かず、上手く異物を排除出来ない動物たちに見られる動作です。そのため手を器用に使えるようになった霊長類に、WDSは必要なくなったと考えられるのです。
こうして、人間のC-LTMRは撫でられたら気持ちいいという役割だけになり、防御的な反射行動(WDS)の機能は持たなくなったのでしょう。
なので出来たら便利そうですが、もはやその機能を失った人間には、見様見真似で実行しようと思ってもWDSは上手くできないのです。
それにしても、動物たちが撫でられたときの心地よさを感じる神経(C-LTMR)が、WDSを引き起こす役割も持つというのは意外な事実です。
ウェットドッグシェイクの謎が解けた今、科学者たちが次に取り組むべき課題は、雨の日に犬が家中に水を撒き散らさない方法を見つけることかもしれません。
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参考文献
Mechanosensory origins of “wet dog shakes” – a tactic used by many hairy mammals – uncovered in mice
https://www.eurekalert.org/news-releases/1063560
Wet dogs don’t choose to ‘shake it off’ – it’s in their genes
https://newatlas.com/biology/dog-shake-water-science/