色鮮やかな見た目から”海の宝石”とも称されるウミウシ。

彼らは基本的に海岸付近の浅い海にいますが、このほど、極めてレアな深海を「自由遊泳」するタイプのウミウシが新たに発見されました。

深海に生息するウミウシはほぼ知られておらず、深海の「海底」を這って暮らすウミウシがわずかに確認されているのみでした。

しかし、深海を自由に泳ぐウミウシが見つかったのは史上初めてだといいます。

報告をした米モントレー湾水族館研究所(MBARI)によると、本種が初目撃されたのは20年以上前のことですが、種属がまったくの不明であり、長年の調査を重ねて今回ついに新種として正式に記載できたという。

一体どんな生物なのでしょうか?

研究の詳細は2024年11月6日付で科学雑誌『Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers』に掲載されています。

目次

  • 研究者も見たことない「謎の軟体動物」の正体とは?
  • 史上初の「深海を泳ぐウミウシ」と判明!生物発光もできる

研究者も見たことない「謎の軟体動物」の正体とは?

MBARIの研究チームが本種の個体を初めて発見したのは、2000年の2月4日にまで遡ります。

米西部カリフォルニア州のモントレー湾の沖合を遠隔操作型の無人潜水機「ティブロン(Tiburon)」で探査していたところ、水深2614メートル付近を漂う透明のクラゲのような生物を発見したのです。

当時撮影された実際の画像がこちら。

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2000年2月4日発見された際の画像/ Credit: MBARI(youtube, 2024)

一見するとクラゲのようですが、明らかにクラゲとは違うものでした。

この生物はリンゴ大のサイズであり、足のような付属肢を何本もぶら下げて、大きなフード型の器官を持っています。

また透明の皮膚を通して、バラ色の紅い臓器が外から目視できました。

チームはそれ以来、2021年に至るまで計157匹の同じ生物を目撃しています。