SPDはまだ正式には誰を次期首相候補にするかを決めていない。独語では「K-Frage?」と呼ばれている問題だ。ショルツ首相自身は依然、再選の期待を失っていないが、SPD内でショルツ首相では選挙で勝利できないといった声が聞かれる。換言すれば、ピストリウス国防相を党筆頭候補者(次期首相候補者)に担ぎ上げる声だ。同国防相は党を超えドイツで最も人気のある政治家だ。その国防相を次期首相候補に担ぎ上げて選挙を戦えば、ひょっとしたら15%以上の大差をつけられているCDU/CSUに勝利できるのはないかというわけだ。

ミュッツェニヒ院内総務はZDFでのインタビューの中で「首相の理想的な候補者について党内で議論がある。結局のところ、党は団結するしか勝利できないことを知っている」と述べ、ショルツ氏で党内が団結するかとの質問に対し、「私はそう確信している」と答えている。

ちなみに、ピストリウス国防相自身はSPDの首相候補になる野心はないとこれまで語ってきた。ピストリウス氏は11日、ベルリンで開催された「南ドイツ新聞」主催の討論会で、「我々には連邦首相がおり、ショルツ氏が首相候補に指名されるだろう。党内に何かを変えたいと思っている人は一人もいない」と述べている。同氏は新連立政権でも国防相の職に留まりたいとの意向を明らかにしている。

ミュッツェニヒ氏は2月23日の投票日まで、国民に「ショルツ首相が持っているもの、つまり能力、経験、誠実さを示すことだ。ショルツ氏は連邦首相候補メルツ氏よりも際立った存在となるだろう。信号機連立を解消したことでショルツ氏はより自由になり、社会民主主義首相なら何が可能かを選挙戦で示すことができる」と確信している。

なお、「緑の党」は今週末の党大会でハベック経済相を首相候補に選出する予定だ。そしてAfDは12月7日、アリス・ヴァイデル党首を次期首相候補者に選出する意向だ。有力政党4党の次期首相候補者(筆頭党候補者)の面々が決まれば、選挙レースはいよいよ熱を帯びてくる。