ドイツで来年2月23日、連邦議会の早期選挙が実施されることになった。そのために、ショルツ首相は12月16日、自身の信任投票を議会に要請し、予定通りに信任が否決されたならば、連邦議会は解散される。そして60日以内に総選挙が実施されることになったわけだ。

オースティン米国防長官(左)の訪問を受けたピストリウス独国防相(2023年1月19日ドイツ連邦国防省公式サイトから)

ショルツ連立政権は2021年12月、社会民主党(SPD)、「緑の党」、そして自由民主党(FDP)の3党から成るドイツ初の3党連立政権だった。ただ、政治信条の相違から政権内を対立を繰り返してきた。そして今月6日、ショルツ首相がFDP党首のリントナー財務相を解任することで3党連立は崩壊した。その後、少数政権となったショルツ首相が議会にいつ信任投票を要請するかで注目されたが、野党第1党の「キリスト教民主同盟」(CDU)のメルツ党首とSPDの連邦議会院内総務ミュッツェニヒ氏と間で合意し、少数派政権となったショルツ政権が残した重要な法案、2025年連邦予算案などでCDUが支持することを条件でショルツ首相は来月16日に信任投票を議会に要請、連邦議会を解散して総選挙を早期実施することになった。なお、ショルツ首相自身は来年1月に信任投票を要請し、選挙日は3月の予定だったが、早い時期の総選挙を願うメルツ党首ら野党からの圧力もあって、「3月総選挙」から「2月総選挙」の実施で妥協した経緯がある。

連邦議会選挙の日が決定したことを受け、各政党は既に選挙戦モードに入ってきた。102日間の戦いだ。複数の世論調査では「キリスト教民主・社会同盟」(CDU/CSU)が断トツで32~33%の支持率、それを追って野党第2党で極右政党「ドイツのために選択肢」(AfD)が17%、SPDの16%、そして「緑の党」9~10%、左翼党から離脱して結成した新党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟」(BSW)は7%、FDP5%、左翼党3%となっている。次期首相に最も近いのはCDUのメルツ党首だ。