ビジネスでは泣かされたグループは諦めて違うチャレンジをすればよいという逃げ道があります。地方選挙で自分が支持しない人が知事なり首長になれば他県や他の州に引っ越すオプションもあります。ところが国家の場合には他国への移民しか手段はなく、これは容易ではないのです。

たとえば香港や台湾問題をみると富裕層にはどこか他の国に移住するという選択肢があり、事実、そのような政治問題が顕在化するたびに移民による出国ラッシュが起きました。ただ、大多数の庶民はそんなことは到底できず国家の変化に耐え忍ぶしかないのです。

トランプ氏の施策は私には一歩間違えれば権威主義になるのではないかという危惧があります。Great America AgainというGreatは何を指すのかであります。50年代や60年代の強かった時代の白人至上主義的なイメージを持つならこれは多くのその後の移民層、例えばヒスパニックからアジア系、インド系やアフリカ系までを人たちの権利には光が当たらないことになります。

これは移民国家を標榜してきたアメリカとしてはある意味方針の変化のように感じるのですが、そのような指摘は、私が気が付いていないこともあるのか、あまりお見掛けしないようです。

トランプ氏のアメリカが議会のコントロールも利用し、権威主義的な施策を施すのであればこれは非常に大きな問題になります。民主主義は何処に行く?であります。

カナダを見ていてもアメリカ追随は望む望まざるにかかわらずそうなってきています。韓国もアメリカの方針にしっかり食いついています。これでは世界は権威主義対権威主義の対立軸になりかねず、日本はその枠組みに入るのか、どうするのか悩ましい判断を迫られることになります。

アメリカに歯止めがあるのか、民主党は勢力としては厳しい状況になっているものの一定のブレーキ役になれるか、気になるところであります。

では今日はこのぐらいで。