simonkr/iStock

日本の航空会社は空港にファーストクラスラウンジとビジネスクラスラウンジを設けてサービスを提供しています。

ファーストクラス用のラウンジは、毎年のフライト実績に応じての利用も可能ですが、利用条件が厳しく、使える人は限定されています。そのせいかサービスも充実し快適に利用できます。

一方でビジネスクラスラウンジは、混雑がかなり醜い状態になっています。

その理由は航空会社のプレミアムメンバー制度にあります。

一定のフライト実績を積むと、航空会社のクラブメンバーになることができます。JALであればジャルグローバルクラブ、ANAならスーパーフライヤーズクラブです。

どちらも一旦メンバーになってしまうと、会員用のクレジットカードを更新し続ける限り、永久にビジネスクラスラウンジの利用が可能になるのです。

最近はこのステイタスを狙って、「修行」と呼ばれるポイント稼ぎを目的に搭乗する人も増えています。これが利用者増に拍車をかけます。

今回利用した羽田の第3ターミナルのANAラウンジも朝から多くの利用客で溢れており、騒然とした雰囲気で落ち着きません。人気のカレーコーナーには行列ができていました。

混雑状況は時間帯にもよりますが、これは最近のJALでも似たような傾向です。

会社員時代に会社の経費で海外出張を繰り返したり国内で頻繁に利用してステイタスを獲得すれば、年金生活者になって年に数回のエコノミークラス利用であってもラウンジにやってきます。こうしてラウンジ利用者の高齢化も進んでいきます。

エコノミークラスでフライト予約をしても、メンバーであればビジネスクラスラウンジを利用できる。このような永久会員の数が年々累積して増えていき、ついにラウンジが大混雑するようになったのです。

利用者数が増えた結果、サービス内容は年々低下しています。お料理やお酒の質は下がり、クレジットカード等で利用できる有料の一般ラウンジと遜色なくなってきました。