立件の可能性

派閥による政治資金収支報告書への過小記載については、証拠上「違法性」の認識の立証が比較的容易な会計責任者は立件を免れない。最有力議員でもある派閥の事務総長については、名誉職として会計責任者に一任していた可能性が高く、「違法性」の認識の立証が困難であるため立件の可能性はない。

還流を受けた個々の国会議員については、金額の多寡が極めて重要であり、金額が多い国会議員ほど「違法性」の認識と国民の処罰感情が高いため立件の可能性が大きい。

自民党「裏金問題」で政権交代は起きるか?

結論から先に言えば、次期総選挙で政権交代は起きないと考えられる。その理由は下記のとおりである。

「裏金問題」の本質は前記のとおり政治資金規正法違反事件であり犯罪被害者のいない刑法上の「形式犯」であること。すなわち、本件はリクルート事件のような大規模な贈収賄事件に発展する多数の自民党国会議員による汚職事件ではない。 「裏金問題」は、自民党の外交・防衛・財政・金融・経済・社会保障政策など国政全般の失敗ではないこと。すなわち、物価高対策や少子化対策など国民の不平不満はあっても、外交・防衛・経済政策など基本的な国政全般において、自民党の国政運営に重大な失敗はない。 五十嵐仁法政大学名誉教授は、「自民党はこれまでアメリカと大企業に日本を売り渡してきた。対米従属と大企業優先の政治を根本から変え、政治を立て直す最適な資格を持つのは共産党だ」(赤旗1月4日)などと述べておられる。しかし、このような見解は、これまで国民が選挙のたびに、自衛隊廃止・日米安保破棄・科学的社会主義(共産主義)の共産党を支持せず、外交・安保政策を含め自由民主主義の自民党を支持してきた事実を全く無視するものである。共産党は共産主義を放棄し、外交・安保政策を根本的に変えなければ国民から支持されないであろう。 野党連合政権の可能性が極めて乏しいこと。日本の存亡にかかわる自衛隊・日米安保・集団的自衛権・核共有など野党各党の外交・安全保障政策における隔たりが大きいため、野党連合政権の可能性は極めて乏しい。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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