東京地検特捜部の捜査が進展し、自民党安倍派を中心に政治資金パーティ券収入につき派閥による政治資金収支報告書への過小記載や、派閥から多くの所属国会議員に還流されたパーティ券収入の政治資金収支報告書への不記載による「裏金問題」が噴出した。報道によると安倍派の直近5年間の「裏金」の総額は6億円に上る(NHK2023年12月31日)。
【こちらの記事も人気です】
このような「裏金問題」は安倍派のみではなく、二階派その他にも波及している状況である。こうした安倍派を中心とする大規模な「裏金問題」はこれまでに例がなく、世論の厳しい批判を受け、自民党及び岸田政権にとっては危機的状況であると言えよう。
「裏金問題」の本質しかし、「裏金問題」の本質は、贈収賄などの汚職事件ではなく、政治資金の処理の問題である。すなわち、派閥による政治資金パーティ券収入の過小記載や、派閥から所属国会議員に還流されたパーティ券収入をなぜ政治資金収支報告書に記載しなかったのか?何に使ったのか?が問われているのであり、贈収賄事件などの汚職の問題ではない。その意味では刑法上は犯罪被害者のいない「形式犯」である。
ただし、政治資金規正法では、政治団体の収支は政治資金収支報告書に記載義務があるが、政治団体から政治家個人に支出された「政策活動費」には使途の公表義務がない。自民党のみならず、野党も所属国会議員に「政策活動費」を支出している。