東アジア最大の地震観測所を持つ韓国地質鉱物資源研究院のイ・ピョング所長は、「北朝鮮が将来追加核実験を実施すれば、大地震が発生する可能性がある」と予測している。
北朝鮮の核実験を懸念しているのは隣国中国だ。特に、中朝国境都市周辺の住民は不安を高めている。地理的に隣接する中国の東北3省は、空気や地下水を介して広がる放射線の影響を免れないだろう。
北朝鮮が7回目の核実験を実施した場合、過去6回の核実験で蓄積された核物質が急速に表面化し、北朝鮮と国境を接する中国の広範囲を放射線で覆う可能性がある。「豊渓里での北朝鮮の核実験は、近くの活火山である長白山にも影響を与えている。最近、長白山から鳥や動物が大量に移動しているのが目撃されており、中国東北三省の住民の間で不安が広がっている」というのだ。
韓国の著名な火山学者、ユン・ソンヒョ教授によると、「核爆発による強力な衝撃波は、120キロメートルも離れた長白山(白頭山)地下のマグマだまりをかき乱し、噴火を引き起こす可能性がある」という。火山を扱う中国地震局研究所のシミュレーションでは、「長白山が噴火し、灰が空を覆い工場が麻痺すれば、中国経済に大きな打撃を与える可能性がある」と予測されており、中国東北部3省の2000万人が避難を余儀なくされる。
韓国統一部が最近、北朝鮮の核実験場の近くに住んでいた亡命者を対象に放射線被爆調査を実施したところ、対象者の20%に染色体異常が見つかった。脱北者らによると、吉州郡の住民は核実験場の川水を飲料水として利用しており、核実験以降、結核患者が急増し、多くの死者が出ているという。
中国東北3省の住民の多くは、6回目の核実験以来、地震を何度も感じたと報告している。中朝国境都市にとって放射能だけではない。北には少なくとも5カ所、化学兵器を製造する施設がある。
中国が恐れているのは両国国境近くにある北の化学工場だ。2008年11月と09年2月の2度、中国の国境都市、丹東市でサリン(神経ガス)が検出されたという。中国側の調査の結果、中朝国境近くにある北の新義州化学繊維複合体(工場)から放出された可能性が高いというのだ。北の化学兵器管理が不十分だったり、事故が発生した場合、中国の国境都市が先ず大きな被害を受けるという(「中朝国境都市にサリンの雨が降る」2013年5月31日参考)。
中国東北3省の住民にとっては時限爆弾を抱えているような状況だ。北側が7回目の核実験を実施した場合、放射能、地震、地形崩壊などの大惨事が発生する危険性が排除できないからだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年3月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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