「メイド・イン・ジャーマニー」の信頼度が落ちてきた、という内容のコラムをこの欄で書いた。欧州の輸出大国ドイツの「メイド・イン・ジャーマニー」の表示は高品質の徴として久しく知られてきた。ドイツ民間ニュース専門局ntvは9月6日、「メイド・イン・ジャーマニー(Made in Germany)はもはや廃れてしまったのか」というテーマで経済界の要人たちに聞いていた。ドイツは日本と同様、輸出国だが、世界経済の低迷、特に、中国経済の低成長もあって、外国貿易が不振だ(「メイド・イン・ジャーマニーの落日?」2023年9月8日参考)。

ロシアのプーチン大統領と金正恩総書記の会見(2023年9月13日、クレムリン公式サイドから)

ところで、「メイド・イン・ノースコリア」(DPRK)という表示がついた商品を買った人はどうだろうか。多くの消費者は「品質は期待しないが値段が安いので」として買うかもしれない。北朝鮮製品が悪ければ「なんだ、これは」と激怒したとしても、直ぐに「メイド・イン・ノースコリアだから仕方がない」と諦める人が多いだろう。質の悪さに抗議して、怒りが収まらない顧客がいれば、「ノースコリアがどこか知らないお客だ」と思われてしまうのが落ちだろう。

前口上が少し長くなった。ウクライナ東部で戦闘を繰り返しているロシア兵士の間で今、「北朝鮮製の砲丸の品質の悪さに苦情が増えている」というのだ。ロシア人の戦争ブロガーがいくつかの弾薬、手榴弾などを調査した結果をそのブログ「国防ニュース」に報じている。以下、ntvのヴェブサイトで報じた記事(12月9日)を参考に紹介する。

北朝鮮製153ミリ飛翔体用推進剤5種類を無作為に分析したところ、一部の推進薬には銅の堆積を減らすための通常のリード線が欠けていた。「推進剤粉末の色にも明らかな違いがあり、これは燃焼の質の違いを間接的に示している」という。また、噴射剤の量も異なるというのだ。「装薬にリード線が含まれていないため、パイプの摩耗が増加する」という。

北朝鮮製砲弾の低品質について、「北朝鮮は荒廃した計画経済下にあり、労働者が工場からリード線を盗むのは日常茶飯事だ。北朝鮮の弾薬にさまざまな発射薬が使用されているのは、入手可能なあらゆる製造部品を使用するよう強制されているからだろう。その結果、手榴弾の品質も低下することになる」と、冷静に分析している。すなわち、北朝鮮の製造工程は通常のそれとは全く異なっているという認識だ。