コメの話に戻します。農林水産庁の6月のデータによると令和元年比で小売業者向け価格は115.6%、つまり5年前に比べ15.6%上がったと出ています。ところが事業者向け卸価格は97.0%なのです。つまりむしろ下がっています。あれ―?でしょう。報道はここを捉えないのです。米問屋もわかっているはずです。新米が出れば価格は急落するから今のうちに小売り向けは売り捌くということです。
生鮮食品、特に野菜は価格の変動が激しいのは世の常なのですが、日本は幸いにして細長い国土なので日本全体が均一の気象条件というわけではありません。よってある地域の作柄が悪くても他の地域のモノが収穫されると価格はすぐに鎮静化するケースが多くなっています。
飲食店などでのインタビューでも「これだけ野菜が高くなると値上げせざるを得ないですよねぇ」と店主がまじまじとしゃべっているのを全国区に流すわけです。あれはやめてほしいのです。客観性がなく、主観だけの内容を何百万の世帯に電波で伝えるわけですからね。
ところでカナダでコメはどうしているのだ、と思う方もいるでしょう。当地ではカリフォルニア産米が豊富にあります。コメは食文化が見事に反映される食材であり、日本米(ジャポニカ米)と称するものは水分含有量が多く短粒米です。一方、東南アジア系、インド系は長粒米が主で水分が少ないぱさぱさしたものです。例えばチャーハンを作るには水分を飛ばすのが原則なので長粒米の方が合うし、インドのカレーもルーとの相性からぱさぱさの長粒米です。
日本のカレーは海外から見れば独特の組み合わせだと思います。韓国料理はジャポニカ米で韓国料理店で出されるコメはなぜか異様にうまく感じます。一方弁当屋のご飯はその場で食べるなら良いですが、翌日に持ち越すと臭くて食べられないのは古米でも使っているからでしょうか?
価格は比較的入手しやすいカリフォルニアのカルローズ米で5キロ換算で1700円程度。カルローズというのは長粒米と短粒米の中間の中粒米です。日本のコメのような粘着性がないのですが、この品種は私にはぜんぜん受け入れられるというか、むしろ好きかもしれないです。チャーハンでもカレーでも普通に炊いても何にでも合う便利な品種です。日本ではジャポニカ米一本勝負なので日本人には違和感があるかもしれませんが、コメにもいろいろ種類があるわけでバリエーションとして考えてみても面白いでしょう。