現状、自民党総裁線は12名の候補者の名前が上がっている。
実際に記者会見という形で出馬会見を行ったのは、小林鷹之元内閣府特命担当大臣だけだが、いずれ、次々に出馬会見するだろう。
出馬会見が遅れている理由は、推薦人。自民党総裁選に出馬するには、党内の国会議員20人の推薦が必要となる。これは372人の国会議員を擁する自民党でも、高いハードルとなっている。
その理由は、総裁選後の人事に関わるからだ。自民党選出の国会議員となった以上、組織の中で出世し、政権の要職に就きたいと思うのは人情。また、先々の選挙において、自民党の強力な後押しを貰うにあたり、自分が誰を推したのか?が大きく影響する。
人間誰しも、勝ち馬に乗りたいと思うのは当然で、その意味で、早期に出馬会見を開いた小林鷹之議員は、旧二階派議員を筆頭に確実に応援する議員がいたことを証明する。
また、以前から指摘しているように自民党は右も左も中道も包含する政党なので、その考え方が近い議員の中から誰が出てくるか?も大きな焦点となる。
保守層が大きな期待を寄せる高市早苗議員は、同じ保守派議員の動向を注視しながらということになり、その意味で、推薦人の確保で苦しんでいる青山繁晴議員や、比較的保守よりな小林鷹之議員が先行したことで、世代交代をアピールしていることもあり、保守派議員は慎重な構えになっている証左だろう。
左派リベラルに近い石破茂、河野太郎、林芳正といったベテラン勢に対しては、対中政策、対米政策、財政政策の面でアベノミクス批判派であって、アベノミクスからの転換を図ってきた岸田総理の政策を継承する形になるだろうが、国民から批判の対象になっているのは、むしろ緊縮財政論者であり、例えば日銀の利上げ策に対してなどは典型的な事例だろう。
総裁選後の解散総選挙も踏まえると、解散後の内閣で増税、緊縮財政が進むと分かっているような自民党総裁は、選ばれることはない。国民から人気があると言われている石破茂、河野太郎であるが、それは自民党員以外も含めた意識調査の結果であって、自民党内でこの両名は人気がない。