自動車産業が常に50%以下の稼動率でしか操業できなくなった2020年代のデータはこちらです。
上段のグラフは中国が世界一のEV大国としてEVの販売台数を伸ばしているけれども、圧倒的に大きな伸びを示しているのは国内販売であって、輸出は2023年秋頃から伸び悩み状態が続いていることがわかります。
じつは中国車の輸出台数全体のうち多数を占めていて、最近でも増加が顕著なのはICE(内燃機関=エンジン)車であることが、太い黒の折れ線グラフでわかります。
そして、生産能力と販売台数を対比して描いたのが下段のグラフですが、2020~22年と販売台数はほとんど2000万台のまま横ばいだったのに対して、生産能力は2021年の4090万台が最低で、2020年にも2022年にもそれより多くの台数を生産できる能力があったと出ています。
おそらく、やっとエンジン車メーカーの間で淘汰が進んで生産能力をほんの少し圧縮できたのが2021年で、2022年になると習近平永世国家主席の「これからはEVと生成AIの時代だ。この2分野に投資を集中せよ」という鶴の一声のおかげでまた生産能力が拡大してしまったのでしょう。
次に、もっとはっきり中国車の輸出台数の中でエンジン車のほうが優勢であることがわかるグラフをご覧ください。
直近、2024年5月でいうとオレンジ色のEV輸出台数が年率換算で約180万台に対して緑色のICE輸出台数が約310万台で、合わせて490万台と500万台にあと一息の水準に来ていることがわかります。
ただ、EVでは一応トップメーカーのテスラのみならず、昔は技術水準の高さが売りものだったドイツのベンツもBMWも非常にお粗末な製品しか造れないので目立ちませんが、中国製エンジン車というと、ほんの少し前まで見向きもされないほど基礎技術の未熟さが指摘され続けていた分野です。