こんにちは。

中国については、不動産不況から銀行危機へと経済環境の悪化が報道されていました。

ところが、最近中国から全世界への工業製品の輸出が非常に順調に拡大しているということで「中国は危機を脱した」とか「そもそも中国は危機というほど深刻な経済状態ではなかった」といった議論をされる方も出てきたようです。

そこで今日は、中国の輸出拡大はとうてい健全な発展と呼べるものではなく、むしろ断末魔の悪あがきと見るべきだと主張させていただこうと思います。

習近平国家主席 中国共産党新聞より

この道は・・・・・・いつか来た破滅への一本道

まず、中国楽観論の証拠として持ち出される次のグラフをご覧ください。

なるほど、ほぼイーブンペースでの拡大が続く対米輸出に比べて、対世界輸出は2014~15年に急拡大した後、2016年から激減に転じ、2018年春を大底として急激な上昇に再転換したように見えます。

ただ、2018~20年は、コロナ流行ときびしいロックダウン政策の影響もあったのでしょうがあまり急激な伸びではなく、本格的な激増に転じたのは2021年からだということがわかります。

では、2021年にはいったい何が起きていたのでしょうか?

まず上段をご覧ください。不動産着工が激減に転じ、続いて不動産売上が着工に近い激減であとを追い、そして1年半ほど横ばいを保っていた不動産固定資産投資がじわじわと減少に転じていきます。

そして下段を見ると、不動産業の固定資産投資がだれの目にも明らかな縮小過程に入るやいなや、それまで延々とかなり大幅なマイナス成長の続いていたインフラや製造業一般の固定資産投資がプラスに転じたことがわかります。

とくに問題なのが、2016~19年に大盛り上がりを演じて結局惨憺たる失敗に終った自動車産業の固定資産投資が年率30~40%という凄まじい勢いで伸びていることで、これはもう破滅的としか形容できません。