報道で見る限り玄関までの道路は精々幅3メートルほどで、車がすれ違えるほどの道幅はない。が、1台が通るには十分だろう。とはいえ、もし見学者が多い場合などにも車の玄関横付けを認めるなら、それは不測の事故など起こりかねないと想像できる。なので、20メートル手前の車止めに意味がないとは言わぬ。

が、やんごとなき方々、海外からの来賓や政府要人など、言い換えれば事前連絡に基づいて受け入れが必要な人々が訪れる際には、予め車止めを撤去して車を玄関に横付けできるようにしておくことが「社会通念」からも当たり前の措置ではあるまいかと筆者には感じられる。それには知事も当然含まれる。

ところが叱責された同行職員は証人尋問で、「非常に強い叱責で、想定外だった。車止めなので触るのはどうかと思ったが、移動せざるをえなかった」と証言した。また委員から叱責について問われ、「社会通念上必要な範囲とは思わない。理不尽な叱責を受けたと感じている」と述べている。

筆者も40年近い宮仕えではいくつもの失敗経験がある。若い頃に重役のお供で工場を訪れた際の報告書に、「〇〇重役の工場見学」と書いてしまい、上司に「『見学』とは何事か、外部のお客様でもあるまいし会社の幹部なら『視察』とするに決まっているだろう」とこっぴどく叱責された。

こんなことを思い出しつつ、斎藤知事が辞任するとなれば、「兵庫県立考古博物館」を訪れる者は誰であろうと、また雨が降ろうが槍が降ろうが、車止めから玄関までの20メートルを歩くことになるのだろうし、他の案件ももしかすると大同小異で、この類のことかも知れないよ、と二人に述べた。

が、友人二人は、それはそうだがやはりこの知事には問題があるよ、と譲らなかった。