これによって輸入インフレが起こり、金利がさらに上がる。政策金利も3%に上げないとインフレが止まらないが、首相は「利上げはあほや」とそれを禁止するので、植田総裁は辞任し、長期金利は5%になって日銀は債務超過に陥る。

最大のリスクは地方銀行の「取り付け」

日銀の債務超過は問題ではないが、首相がこのようなMMT路線を続けると市中銀行も債務超過に陥り、資本増強が必要になる。これを支援する日銀が債務超過だと、各地の地方銀行で取り付けが起こり、1998年のような金融危機が起こる可能性がある。

MMTが「自国通貨建ての国債はデフォルトしない」などとお気楽なことを言っていられるのは、投資家が財務省と日銀を100%信頼しているからだ。その信頼が1%でも欠けると国債バブルが崩壊する。

安倍政権では財務省出身の黒田日銀総裁が信頼を担保していたが、高市首相の経済顧問は、安倍首相でさえ審議委員に起用しなかった本田悦朗氏である。

円安で外資系ファンドが国債の空売りをかけると、それがさらに国債の暴落をまねいて円安をまねく2022年のイギリスと同じスパイラルが起こる。

通貨価値を担保しているのは通貨発行権でも金融政策でもなく、政府への信頼である。それをみずから毀損する首相が出てきたとき、財務省が国債の暴落を放置して政権を倒すことはむずかしくない。続きは『もし小泉進次郎がフリードマンの「資本主義と自由」を読んだら』でどうぞ。