とかく批判された「特区」と加計学園だが、そもそも「特区」は小泉内閣の「構造特区」(02年)、菅内閣の「総合特区」(11年)と来て、安倍内閣の「国家特区」(13年)に至る。加計学園は補助金のない「構造特区」の時から16回目の15年の申請で、漸くワーキンググループ(WG)が動き出した。

加計学園ホームページ

先般、加計のWGを担当した原英史氏が、森ゆう子議員によって名誉を棄損された事件があった。この事件では、WGの役割が申請者と官庁の調整役ではなく、むしろ申請者の側に立って官庁の岩盤規制に穴をあける役割であることが明らかになった。蟻の一穴を全国展開する先兵の支援役ということだ。

先の産経は、獣医師政治連盟が12年12月、自民党幹事長に就任した石破氏の「鳥取県第一選挙区支部」に100万円献金したことや、石破が獣医学部新設について「(4条件が)証明されればやればよい。されなければやってはいけない。非常に単純なことだ」と事あるごとに語ってきたとする。

また、「石破4条件」といわれ始めると石破氏は、「私が勝手に作ったものじゃない。内閣として閣議決定した」と述べたことや、平成27(2015)年9月9日発言についても「そのような事実はなかった」と全面否定した、とも同記事は報じている。

ならば北村氏の活動報告は嘘か。彼は「会議で多少、成果を誇示する表現で報告することはある。あれは石破さんの実際の発言ではなく、私の説明を獣医師会の事務局がまとめた」と釈明した。とすると、前川喜平氏が朝日に持ち込んだとされる文科省メモと同工異曲ということになる。

前川メモは、WGで原氏にやり込められた文科省課長補佐が、「成果を誇張する表現で報告」したメモを、朝日が都合の悪い部分は読めないようにして報じた。それは当日のWG議事録と突き合わせれば証明可能だ。が、北村報告は裏取り不能。だのに、加計の針小棒大な報道や騒ぎは一体どういう訳だ。

加計問題は、16度に及ぶ特区申請の経緯、故加戸守行氏や原氏らWGの国会証言などで、なんら瑕疵のないことや獣医学部新設の必要性が明らかになった。他方、「石破4条件」に関する北村報告の真相は依然として藪の中だ。

これの落とし前を付けない限り、石破総理など到底考えられない。