学校では、生徒の姓の五十音順をもとに、「出席番号」が割り当てられます。
たいていは「伊藤さん」「井上さん」は出席番号の最初の方で、「渡辺さん」「山口さん」は最後の方になっています。
この出席番号が発表や当番の順番の決定に用いられることも多く、出席番号が早かったり遅かったりすることで、学生時代何か損をした気分になった人も多いでしょう。
こうした順番の問題については、主観的な気分の問題以外にも、評価において不公平な結果が出るという研究が報告されています。
そして最近では、アメリカのミシガン大学(University of Michigan)に所属するジーハン・ワン氏ら研究チームが、出席番号が成績にも影響を与える可能性があると報告しました。
出席番号が遅い人は、早い人に比べて、テストにおいて低く採点される傾向があると判明したのです。
研究の詳細は、2024年3月10日付でプレプリントサーバー『SSRN』にて発表されました。
「順番」で評価が異なる
私たちはどんな状況でも公平な評価を期待します。
しかし実際に、「順番が評価に影響を及ぼす」ことはあります。
例えば、アメリカのシカゴ大学(University of Chicago)の2024年の研究では、「面接やマッチングアプリでは、候補者の順番が後になるほど、否定的な評価になる」と報告されています。
面接でもマッチングアプリでも後になった人の方が否定的な評価になる
このようなケースでは、本人の努力や工夫によって、いくらか対処できるかもしれません。
しかし、生まれながらにして、順番がほぼ固定化されるケースもあります。
それが「名前」であり「出席番号」です。
日本の多くの学校では、「姓」の五十音順をもとに出席番号が決まり、これを変えることはできません。
アメリカでも、出席番号はアルファベット順で決まることが多く、「A」だと早く、「W」だと遅くなります。
そして今回、ミシガン大学のワン氏ら研究チームによる調査で、「出席番号」によって、成績にいくらか影響が及ぶことが分かりました。
では、成績という「生徒にとって大切な評価」に、出席番号がどのようにして影響を与えてしまうのでしょうか。