■細菌感染による肺炎と腸内環境の劣化
新型コロナウイルス感染症患者の死亡の一因としての肺の細菌重複感染の重要性は、これまで過小評価されてきたことも指摘されている。2023年5月に発表された研究では、回復しない肺炎が新型コロナウイルス感染症患者の主な死因であることが判明したことが報告されている。
細菌感染はウイルス感染そのものによる死亡率を超える可能性さえあり、入院6カ月後の入院患者の60%が複数の臓器、特に脳と肺に異常を示し、不整脈、心臓発作、脳卒中などの心臓関連のリスクが高確率で発生し、剖検分析では特に心臓細胞がカルシウムを調節する方法にさまざまな異常が見つかったという。
長期にわたる新型コロナウイルスの症状は、まだ十分に定義されていないものの、肺炎連鎖球菌感染症に関連している可能性がある。マスクを長期間着用すると低酸素/二酸化炭素に富んだ条件下で通性嫌気性細菌である肺炎連鎖球菌が異常増殖する可能性があるのだ。
最新の年齢層別分析では世界の非高齢者集団におけるワクチン接種前の新型コロナウイルス感染症死亡率(0.03~0.07パーセント)が、これまでに示唆されていたよりもはるかに低いことが判明しており、公衆衛生上の最大の脅威はウイルスではなく、むしろ免疫システムの低下にあるということだ。
そして栄養不足による腸内環境の劣化も免疫システムの弱体化を促しているという。
最近の研究では腸内微生物叢の異常が、冠状動脈性心疾患、高血圧、不整脈、心不全、心臓突然死などのほとんどの心血管疾患の原因であると考えられることが示されている。腸内細菌叢の異常は炎症反応を誘発し、生物活性分子の代謝に影響を及ぼし、全身性炎症や内皮機能不全を引き起こす可能性があり、動脈硬化性プラークの発生を促進し、血栓症や心血管イベントのリスクを高める。
研究によると腸内細菌叢と新型コロナウイルスワクチンとの間には双方向の関係があり、微生物叢のさまざまな成分がワクチンの有効性を高めるか、さもなくば低下させることもあり、イギリスの最近の統計では超過死亡の96.5パーセントが1度でもワクチン接種を受けた者であることが示されているという。