では中国の不動産会社の崩壊が仮に起きた場合、中国はどうなるのでしょうか?専門家でもわからない話なので私にわかるわけもないですが、個人的に見えるのは「ロシアより悪い」であります。何故か、といえばロシアではそれでもプーチン政権とは距離を置く声や活動も存在するのですが、中国は芽を全部刈り取ってしまっています。つまり、中国指導部が支えきれなくなった場合、立て直す手段も人材も知恵も気力も能力も資金もないのです。
文化大革命が終結したのは1976年ですが、その時は一気にオセロがひっくり返るような事態が生じたことが中国の再建に好都合でありました。つまり、毛沢東と周恩来が76年に亡くなり、4人組が同年逮捕される、そして鄧小平がそれに代わって国家をリードするというスクラッチに戻す絶妙のタイミングだったと言えます。
ですが、今回はそうならないでしょう。つまり、経済運営の失敗から来るズルズルと底なし沼の中に少しずつ落ち込むような凋落になるだろうとみています。私が中国はベネズエラ化すると申し上げたのは文化大革命のような短期間で衝撃的な変化が起きるとは想定できないからなのです。
中国の経済行き詰りバンザイと思っている方もいるでしょうが、仮に悪いニュースが発生した場合、日米欧でも激震となりえます。特に日本場合、貿易依存度が大きいため、日経平均が5千円や1万円ぐらいストンと下げてもおかしくないほど連携があります。また、奇妙かもしれませんが、アメリカへの依存度が急激に高まり、物価が沸騰しやすくなる一方、企業決算は最悪というスタグフレーション化が起きないとも限りません。
中国指導部としてはまずは雪だるま式に膨れ上がった債務と不良化した事業を抱える碧桂園の経営をどう安定させるか、そして落ち込む国内消費を回復させるためにどうするかが最大の関門となるとみています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月16日の記事より転載させていただきました。
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