1. 誠実に自信を持って説明をしてくれるか?

    1、2で説明した法的な側面は当然として、賃金は社員にとって生活を支える重要な労働条件である。その大切な労働条件の説明を疎かにし、質問に自信を持って答えない会社は信用できない。

    会社の担当者は自社の賃金制度を理解して、誠実に説明をする義務がある。そして自社の賃金制度に関する最低限の勉強も必要である。

    以前歩合給に関するある専門家の記事を読んだ。「基本給が低額だと、有給休暇を取った際に、有給休暇分の賃金が基本給部分しか支払われないので、社員は安心して有給休暇を取ることが出来ない。だから歩合給はダメなのだ」と書かれていた。

    これは明らかに間違いであるし、こういった誤解をしている会社も多い。歩合給も賃金の一部なのだから、有給休暇を取得した際には歩合給部分も反映した金額を支払う義務がある。固定給部分だけを支払って、歩合給部分を支払う必要がないということは間違いである。

    このようなことが賃金規程や雇用契約書に明確に記載されていて、質問をした場合に誠実に自信を持って答えてくれる会社は安心して働けるだろう。質問をしたときに明らかに不機嫌になったり、煩わしいといった態度を取ったりする会社はブラック企業だと考えて良い。

    歩合給に対する正しい知識を身につけて、ホワイト企業で働こう

    ブラック企業の象徴と考えられる歩合給だが、歩合給が悪いのではなく、その企業に問題があるということは分かってもらえただろうか?

    自分の人生の貴重な時間を使って、縁があって働くのだから、今回挙げた3つのポイントを参考にしながら、あなたがブラック企業ではなく、ホワイト企業で働けることを願っている。

    林 秀樹 社会保険労務士 林労務経営サポート代表 株式会社エンパワーマネジメント代表取締役 社会保険労務士。林労務経営サポート代表。株式会社エンパワーマネジメント代表取締役。1972年生まれ。2001年に社会保険労務士事務所「林労務経営サポート」を開業。2018年に人事コンサルタント会社「株式会社エンパワーマネジメント」を設立。訴えられない会社作りをモットーに、他の社会保険労務士が敬遠しがちな「運送業の未払い残業代対策のための賃金制度作成」「問題社員対応」等を得意とする。「1DAY就業規則作成サービス」を開発し全国各地に顧問先を持つ。上場企業で企業リスクに関するセミナー講師の実績も多数。

「会社を潰してしまう社長は、アートが好き」は本当か?(横須賀 輝尚 経営者) ChatGPT(GPT-4)は、弁護士や税理士など士業・専門家の相談業務を奪うのか?(横須賀 輝尚 経営者) コロナ禍で露呈した「使える士業」と「使えない士業」の決定的な違い(横須賀 輝尚 経営者) コロナ5類移行で外国人労働者の争奪戦が始まる(小島 健太郎 行政書士) ママ社労士が教える、育休明けからスムーズに職場復帰する方法。(桐生 由紀 社会保険労務士) 過去最高の税収68兆円より社会保険料が多い理由。(中嶋 よしふみ FP)

編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年10月12日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?