政策論争を避けるな

自民党総裁選は12日に告示され、過去最多の9人が立候補し、上位2人の決選投票にもつれ込むと、予想されています。これまでの決選投票では、派閥の領袖らの密室の駆け引きが行われ、順位の逆転もあった。閣僚、党の主要ポストは論功行賞のような形で配分された。

派閥解消が進んだ今回は、どのような形で決選投票が行われるのだろうか。改革派と保守派の2人が残った場合は、改革志向の議員らは改革派を推し、保守志向の議員らは保守派議員に投票するでしょう。2人が改革派だった場合はどうするか。

私は上位2人が決選投票に入る前に、米大統領選のように、公開討論をすべきだと思います。両氏の政策をじっくり聞き、議員らは投票に入る。上位2人が27日の投開票日で決まったら、どちらを選ぶべきか議員らに考える時間を与える。過去のような密室の取引から脱却してほしいのです。

現在、米国では大統領選(直接選挙)が進行中です。民主党のハリス氏と共和党のトランプ氏が対決し、11月の投票日まで、白熱の議論の応酬が行われます。政治、経済、外交、中絶問題、不法移民問題など、洗いざらいの分野にわたり、両氏の政治思想、政策選択、人物・人格が明らかにされる。国家のトップを決めるプロセスがさらけ出されます。

米国は政策重視の決定、日本は政策よりポスト配分、貸し借り、密室の取引による決定です。せっかく派閥が解消に向かっているのですから、日本も政策重視の決定に方向転換してほしい。

間接選挙の日本では、自民党総裁に選ばれた議員が国会で首班に任命されます。今回は9人が立候補して、所見を述べ、12日には共同記者会見が行われました。立候補者が9人もいるので、1人当たりの発言時間は限られ、候補者を十分、吟味することが難しい。

朝日新聞は「石破茂・元幹事長(67)と小泉進次郎元環境相(43)の2人を軸に選挙戦は展開される」とし、2人の決選投票を予感させる書き方です。世論調査では、石破氏、小泉氏が1、2位に並ぶか、争う展開になっているとまで書いても、「2人を軸に」とまでは踏み込んでいません。

石破茂氏と小泉進次郎氏 両氏インスタグラムより